タイヤの値段はなぜ千差万別? 同じメーカーで同じサイズでも価格がピンキリな理由とは?
スポーツタイヤやコンフォートタイヤにも高価な部材が使われる
では、サマータイヤではどうでしょうか。
同じメーカーの最新モデルで同じサイズでも、ブランドや商品によって価格が異なります。
これは、ブランドによってさまざまな個性のあるタイヤが存在するからです。エコタイヤ、スポーツタイヤ、コンフォートタイヤなど、商品のコンセプトに合わせ性能を追求して作っていくと、コストが上がり販売価格に反映しなければなりません。
最近は、低燃費タイヤの性能をラベリングで表すようになっています。タイヤは基本的に、転がり抵抗を小さくするとウエットグリップが低下する、という二律背反の面があります。だから単にエコ性能だけでなく、ウエットグリップの安全性も両方表示するグレーディングシステム(等級制度)をJATMA(日本自動車タイヤ協会)が設けています。
このシステムは、転がり抵抗が「AAA」でウエットグリップが「a」というのが最高ランクになりますが、これは相当高価なトレッドコンパウンドを使わなくては達成できないので、当然販売価格も高くなってしまいます。
またスポーツタイヤも総じて値段が高くなります。
その理由は、まずは使われている材料です。ハイパフォーマンスタイヤと呼ぶスポーツタイヤも、専用のトレッドコンパウンドにお金がかかります。
舗装路でのグリップアップを狙ったコンパウンドは、サーキットを周回してタイヤ温度が上がってもグリップダウンしないようにしたり、強い力がかかってもチャンキング(トレッド面の一部が剥離する)やチッピング(ゴム欠け)などがおきないゴムを開発しなくてはなりません。
一般的なタイヤはトレッドゴムの内側にスチールベルトが2枚重ねてあるのですが、スポーツタイヤではそれをアラミドと呼ばれる繊維に置き換えているものもあります。これはスチール繊維の5分の1の重量で引っ張り強度は7倍といわれるもので、ハイパフォーマンスタイヤには必須の材料です。
コンフォートタイヤも販売価格が高いものが多くなります。コンフォートタイヤに重要なのは乗り心地と騒音などの快適性です。こちらもベルトにはアラミドを使っているものが多く、コストは上がります。
さらに走行中パカン、パカンと響くキャビティノイズ(空洞共鳴音)を少なくするために、タイヤ内部にウレタンやスポンジを貼ることによってその音を吸収しているものもあります。
またサイズによってタイヤの販売価格も変わっていきます。
同じクルマに履くタイヤでも、1インチアップ、2インチアップにするとタイヤの販売価格は高くなります。外径は同じでも、ホイール径が大きくなる。つまり偏平タイヤになるほど製造が難しいので、そのぶん価格も上がる傾向にあります。
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アジアンタイヤと総称される激安タイヤも存在しますが、自動車メーカーにOEM(新車装着)されていないメーカーのブランドは選ばないほうが無難です。摩耗やバランス、ユニフォミティ(構造上の均一度)などの基本性能がイマイチなケースもあります。
またネットショップなどで、有名ブランドが激安タイヤとして販売されている場合もありますが、見た目は同じでもB級品とか、製造が古いものを手にしたという話も聞きます。製造年週の4桁(週と年)は、タイヤのサイドウォールに書いてあるので、現物をチェックしたいところです。
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