【スーパー耐久、開幕まで1か月】 公式テストで見た「GR86/SUBARU BRZ」の変化とは
昼間は順調に見えた公式テストだが…夜間走行で明暗が分かれた!?
そして、17時50分からの夜間練習走行で各チームの明暗が分かれました。
明はBRZで、カーボンニュートラル燃料を使用したテストを実施。2時間の走行枠をノントラブルで走り切りました。
一方、暗はGR86で走行から僅か10数分でマシンがコース上にストップ、けん引されてピットに戻ってきました。
原因は合同シェイクダウンでも発生した、ミッションのトラブルが再発したそうです。
実は筆者と共にその光景を見ていたGRヤリス開発責任者の齋藤尚彦氏(プライベーターのサポートで来ていた)が一言、「壊れたら直せばいいんです。テストで壊れれば対策ができますから…」。
GRヤリスの開発で壊しては直しを繰り返しながら鍛えてきた彼の一言には、重みがありました。
テスト終了後、各々のマシンの開発担当者に今回の総括をしていただきました。GRの藤原裕也氏はこのように語っています。
「正直言うと、まだレースを戦える状態ではありません。
1回目の走行で我々も驚くようなタイムが出たものの、あの後はバタバタで『このままだとエンジンが持たない』という状況での走行でした。
まだ連続で15周しかしていないのでロングランは試したかったのですが、またトラブルが出てしまいました。
課題は認識しているので、開幕まで強いクルマになるように鍛え続けます。
BRZとの戦いは非常に刺激的ですが、我々も負けませんよ!」
SUBARUの竹内源樹氏はどうでしょうか。
「走らせる上でベーシックな所はできていますが、GR86に対してラップタイムが負けているのも事実です。
ただ、富士のコースで言えばセクタータイムでいい所もあるので、今後シャシー周りでどこまで詰められるか……そんな分析もしていきたいです。
今回もセットアップの振り幅を増やして、検証をして伸び代も見えてきました。
ライバルがいるのはモチベーションになります。開幕戦はまずは走り切る事が目標ですが、GRさんもいますのでリザルトにもシッカリとこだわっていきたいと思っています。
一緒にいいクルマをつくってきたからこそ、『負けたくない!』という想いは強いですよ」
今回の公式テストを取材して解った事は、ズバリ「隣の芝は青く見える」です。
お互いベースとなるクルマを知っているからこそ意識しまくりですが、競い合う以上は決して手の内は明かさない真剣勝負です。
「お互いどのような状況なの?」、「順調なのか?」、「それとも苦戦しているのか?」など、そんな“見えない戦い”がクルマと人をより鍛えてくれると思います。
さらに「サーキットを走る」、「相手がいる」、「競争っていいな」を改めて感じた次第です。
GR86/SUBARU BRZ、どちらも課題はたくさんあるようですが、それと同じくらい伸び代もたくさんあるようです。
開幕までの1か月でどのような成長を見せるのか。このガチンコ勝負の行方、ますます楽しみになってきました。
ただ、今回取材のためにルーキーレーシングとSUBARUのピットを何十往復したか解らないくらい歩いたので、開幕戦のピット位置はもう少し近くであって欲しいです(切実)。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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