日本初披露された全長5.6mのピックアップトラック! ジープ「グラディエーター」はなぜ日本市場に導入されたのか

今後も継続して販売していく予定

 グラディエーターのスタイリングは、フロントと4枚ドアのキャビンはラングラーと同様で、ラゲッジスペースを取り払い、荷台に変更したもの。

 ラングラーの個性のひとつである3分割の着脱式ルーフも採用され、キャビン上にあるルーフをすべて取り払うことが可能。展示車は、フロントルーフのみを取り外し、キャンバストップが装着されていました。

ジープ「グラディエーター」のインテリア。日本仕様は右ハンドルになる
ジープ「グラディエーター」のインテリア。日本仕様は右ハンドルになる

 グラディエーターでは室内収納がないため、後席シート下には収納ボックスが設けられています。そこに非常用品や洗車道具などの常備アイテムを入れておけば、車内が狭くならないというわけです。

 装備レベルは、ラングラーアンリミテッドの最上級モデル「ルビコン」と同等の内容を誇るので、豪華そのもの。地デジTV付きのナビゲーションシステム、アルパイン製プレミアムスピーカー、レザーシート、前後のパークアシスト、バックカメラ、アダクティブクルーズコントロール(ACC)、LEDヘッドライトなど充実しており、SUVと変わらない快適性が維持されています。

 ルビコングレードは、米国の世界一過酷と呼ばれるオフロード「ルビコントレイル」の名を与えられたモデルだけに、より悪路走破性能が磨かれ、前後のデフロック機構や悪路走行時にサスペンションストロークを増加させる「電子制御式フロント・スウェイバー・ディスコネクトシステム」、極低走行を可能とする「ロックトラックフルタイム4×4システム」、マッド&テレインタイヤなどを標準化しています。

 そもそもヘビーデューティーな使いかたもされるトラックだけに、悪路走破性については、ラングラーよりも強化されている部分もあり、車両前方下部の映像を映し出す「オフロードカメラ」やオフロード車向けダンパーの老舗であるFOX社製パフォーマンスショックアブソーバーも標準化しています。

 また本国仕様を含め、エンジンは強大なトルクを誇る3.6リッターV型6気筒エンジンのみに限定。これは荷物を積載しながら、同時にトレーラーをけん引するなどの使い方を想定してためと考えられます。

 日本での消費税込みの車両価格は770万円で、9色のボディカラーを用意。現時点では、すでに200台のオーダーを受けているそうです。

 FCAジャパンに今後の展開を尋ねると、短期間の導入では終わらせず、設定を継続していくことを考えているために、限定車の投入などの話題づくりもおこなっていきたいとしています。ただし台数を売ることは重視しておらず、ジープブランドのアイコンとして、その魅力の普及にも活躍してほしいとのことでした。

 ド迫力の大型ボディに加え、クロカン車とトラックを掛け合わせたワイルドなスタイリングのグラディエーターは、日本だと日常ユースに適しているとは言い難いのですが、そのカッコ良さには、誰もが見惚れてしまうことでしょう。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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