グレードのひとつだったのがメインキャラに!? イメージリーダーとなった高性能車3選
一般的にひとつの車種には複数のグレードが設定されています。グレードは装備やエンジンなどによって分かれ、ユーザーは予算によって選ぶことができますが、グレードのなかには走行性能の向上に特化したモデルも存在します。そこで、後にイメージリーダーになったような高性能グレードを、3車種ピックアップして紹介します。
車種を代表する存在となった高性能グレードを振り返る
一台のクルマには一般的に複数のグレードが設定されており、ユーザーは予算や利用状況によって選択することができます。
グレードは装備やエンジンなどによって分かれ、価格も異なります。また、かつてはグレードによって外装部品が異なり、見栄えも差別化されていましたが、近年は大きく変わらないケースが主流になりました。
このようにグレードは文字どおり一車種における「地位」や「等級」を表していますが、なかには特別な高性能グレードも存在します。
さらに、高性能グレードが後にその車種を代表するモデルとなった例もありました。
そこで、イメージリーダーになった高性能グレードを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイラインGT-R」
1957年に、プリンス自動車の前身である富士精密工業から発売された初代「スカイライン」は、先進的な技術を採用し、高性能なエンジンを搭載しており、このコンセプトは歴代モデルへと受け継がれていました。
その集大成といえるのが、1989年に8代目スカイライン(R32型)をベースにした高性能モデルの「スカイラインGT-R」です。
1969年に登場した初代スカイラインGT-Rと同じく、市販車をベースにしたレースで勝つことを目的に開発されました。
ボディは2ドアクーペのみとされ、エンジンは専用に開発された2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボ「RB26DETT型」を搭載し、最高出力280馬力を発揮しました。
組み合わされるトランスミッションは5速MTで、駆動方式はFRを基本に前後駆動トルク可変型のフルタイム4WDシステム「アテーサE-TS」を採用。
足まわりは新開発の4輪マルチリンク・サスペンション、さらに4輪操舵の「スーパーハイキャス」も相まって優れたコーナリング性能を実現しました。
スカイラインGT-Rは1990年シーズンから「全日本ツーリングカー選手権」に参戦し、デビューから圧倒的な強さを見せつけ、1993年にレースが消滅するまで26戦全勝を記録しました。
そして、スカイラインを代表するモデルとなり、後の「BCNR33型」「BNR34型」、そして現行モデルの「GT-R」へと系譜は受け継がれました。
●スバル「インプレッサ WRX」
スバルは1989年に、新世代のセダン/ステーションワゴンとして初代「レガシィ」を発売し、大ヒットを記録。そして1992年には、レガシィよりもコンパクトな初代「インプレッサ」が誕生しました。
大ヒットした初代レガシィに続き、インプレッサもヒット作になりましたが、なかでも世界ラリー選手権(WRC)で勝つために開発された高性能セダンの「インプレッサ WRX」が人気を集めました。
インプレッサ WRXに搭載されたエンジンは、レガシィGT RSに搭載されていた2リッター水平対向4気筒DOHCターボ「EJ20型」をベースに改良し、最高出力240馬力を発揮。このパワーはフルタイム4WDシステムを介して路面に伝達されました。
サスペンションは、フロントがストラット、リアをデュアルリンクストラットとした4輪独立懸架を採用。標準車の時点で高度な操縦安定性を実現していましたが、WRXは専用スプリングとショックアブソーバー、さらに強化ブッシュを採用するなど、コーナリング性能が高められました。
デビュー当初、WRXはセダンにのみ設定されていましたが、1993年には「スポーツワゴン」にもWRXが設定され、実用的なワゴンでありながら優れた走行性能を発揮し、ヒットモデルとなりました。
インプレッサ WRXは1993年シーズンからWRCに参戦し、1995年にはメイクス/ドライバーのダブルチャンピオンに輝き、インプレッサ=高性能モデルというイメージを確立。
その後インプレッサ WRXは代を重ね消滅してしまいましたが、そのDNAは現行モデルの「WRX S4」にも受け継がれています。
●ホンダ「シビック タイプR」
ホンダは1972年に、FF大衆車の初代「シビック」を発売しました。それまでのホンダ車とは大きく異る新世代の大衆車として開発され、大ヒットを記録。
その後、1983年に登場した3代目から一気に高性能化を果たし、シビックは大衆車としてだけでなくスポーティなコンパクトカーというイメージを確立しました。
そして1997年8月に、6代目シビックのマイナーチェンジと同時に、3ドアハッチバックモデルをベースとした初代「シビック タイプR」が発売されました。ホンダのタイプRシリーズとしては「NSX」「インテグラ」に続く第3弾でした。
それまでのタイプRと同じく、一般道での乗り心地など快適性を犠牲にしてまでサーキット走行に対応したチューニングが施れ、ストイックなモデルに仕立てられていました。
外観では専用のエアロパーツに加え、タイプRの証である赤地のホンダエンブレムが装着され、内装ではMOMO製小径ステアリングホイール、レカロ製バケットシート、ショートストローク化されたシフトノブはチタン削り出し品を採用するなど、実用的かつスポーティに演出。
搭載されたエンジンは1.6リッター直列4気筒DOHC VTECで、細部に至るまでチューニングされた結果、最高出力185馬力を発揮しました。
また、足まわりはハードなスプリングと減衰力を高めたダンパー、トルク感応型ヘリカルLSD、専用チューニングのブレーキが搭載され、パフォーマンスロッドの追加によるボディ剛性アップや、タイプR専用の「ポテンザRE010」ハイグリップタイヤを装備するなど、コーナリング性能が飛躍的に高められました。
初代シビック タイプRは優れた走りからヒット作になり、シリーズ化されました。そして、シビックが代を重ねるごとに人気が低迷していくなかで、逆にタイプRの存在感は増し、シビックを代表するモデルとなりました。
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最後に紹介したシビック タイプRですが、2022年中に6代目の登場が予定されています。
まだ詳細な情報は明かされていませんが、これまでのモデルと同じく卓越した走行性能・運動性能を発揮するのは間違いないでしょう。
今後、同様のモデルはさらに少なくなると予想されますから、シビック タイプRはますます貴重な存在となりそうです。
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