なぜスバル車は雪国で支持される? 得意の「AWD」だけじゃない!? スバルが冬に強い理由とは
「視界確保が安全につながる」スバル車ならではの装備とは?
寒い日に役立つのが「ヒーテッドドアミラー」や「ワイパーデアイサー」です。前者はドアミラーに付いた雪や霜を溶かしたり、曇りを除去。
後者はフロントウインドウに組み込んだ電熱線に電気を流して温めることで、雪が固着したワイパーを解氷させる仕掛けです。
どちらも一般的に広く採用されているアイテムではありませんが、スバルではインプレッサやXVの上級グレードに標準装備。
そのほかのグレードもオプションで選べるほか、フォレスター、レヴォーグ、アウトバック、WRX S4はグレードを問わず全車標準採用しています。

ヘッドライトウォッシャーやヒーテッドドアミラー、そしてワイパーデアイサーは雪道や極寒の日など環境が悪い状態での視界確保に大きな効果をもたらすものですが、これらを装備する理由は「視界確保は安全の第一歩。環境が悪いときであればなおさら」というのがスバルの考え方だからなのです。
視界確保といえば「リアワイパー」にもスバル独自のこだわりが貫かれています。リアワイパーは一般的にハッチバックやワゴン、SUV、そしてミニバンなどに備わることが多いアイテムですが、セダンにはそれほど多く採用されません。
なぜなら、ボディ形状の違い(空気の流れ方)により、セダンなどトランクのある車種はリアウインドウがあまり汚れないとされているからです。
しかしスバルは、「インプレッサ G4」やWRXなどセダンボディのクルマにも全車にリアワイパーを標準装備。これも視界確保へのこだわりです。
また、寒い日の快適性を高めるアイテムとして人気が高いのが「シートヒーター」です。スバルでは前席をインプレッサやXVでも上級グレードに標準採用し、中級グレードにオプション設定と幅広く展開。
もちろん、フォレスター、レヴォーグ、アウトバック、WRX S4は全車標準装備としています。
加えて後席も、フォレスターやレヴォーグではエントリーグレードを除き標準装備、アウトバックでは全車に採用と充実しています。
ここまでは装備表でわかる“雪に強いアイテム”でしたが、じつはスバル車には装備表には出てこない冬のカーライフのこだわりも込められています。
たとえば、暖房の設計と制御です。スバル車の空調は、オートエアコンの吹き出しモード制御を外気温など状況に合わせて綿密に実施するのはもちろんですが、暖房のきかせ方にもひと工夫あります。
暖房の吹き出し口を足下近くに配置した上で、左右の足に均一の風を送るよう工夫することで、両足をしっかり温められるように配慮しているのです。
ほかにも雪への対応としては、開発時の雪道テストでは雪の付着もしっかり確認。「車体のどこへどの程度の雪が付着するのか」といった部分について「テスト項目として定められているわけではないが、伝統的にチェックしている」というのです。
また、タイヤチェーン装着時は前後輪のグリップバランスが乱れがちですが、その際の挙動もしっかりテストしてスピンしにくい特性にしています。
AWDによる雪上での走破性や走行安定性はもちろんですが、スバルはそれだけにとどまらずドライバーの運転環境や安全性を高める仕掛けまで徹底して配慮。寒い環境におけるトータル性能を、スバルでは「総合雪国性能」と呼んでいるのだそうです。
そうした開発陣のこだわりが、雪道に強く、雪国で愛されるスバル車を生み出し続けてきたといっていいでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。


























