短命だったけど技術革新に貢献! バブル崩壊後に燃費低減を目指した「燃費スペシャル」なクルマ3選
ガソリン価格の高騰により低燃費なクルマに注目が集まりますが、いまから約30年前のバブル崩壊直後にも、燃費を良くしてCO2排出量を減らそうとしたクルマが登場しました。一体どのようなモデルがあったのでしょうか。
バブル崩壊後に流行した低燃費技術とは
ガソリン価格が高騰している今、燃費が良いクルマの人気がさらに高まりそうです。
しかし、燃費の問題は「エンジンの排気量を小さくすれば良い」とか「燃料の供給量を減らしたエンジンを作ればよい」という単純な問題ではありません。
単に排気量を小さくしただけではかえって燃費が悪化し、エンジンに供給するガソリンの量を過剰に減すと燃焼後の排出ガス中に窒素酸化物が増えるという問題があります。
そこで技術者は、燃料と空気の流れ方や燃え方を工夫してパワーの低下を抑えつつ、燃費向上を図りました。
それが、いまから約30年前のバブル崩壊直後に流行した「リーンバーン技術」です。
バブル崩壊直後には、燃費を良くして二酸化炭素排出量を減らそうとしたリーンバーン車が複数のメーカーから発売。
しかし、リーンバーンを実現するためには多数の新技術が導入されることから、どうしても車両価格は上がりがちです。
その一方で価格ほどの効果が見られなかったからか、これらのクルマの販売成績はあまり良くありませんでした。
ただし、後の時代のクルマに受け継がれた技術が多数存在し、バブル崩壊後に低燃費を目指したクルマの功績は決して小さくなかったと考えられます。
では、一体どのようなクルマに、どんな低燃費技術が搭載されたのでしょうか。
●ホンダ「シビックETi」
1991年9月に発売されたホンダ5代目「シビック(通称:スポーツシビック)」は、先代のEF系シビックで投入したVTEC技術を、スポーティグレード以外にも幅広く展開していました。
VTECの高回転高出力技術を、低燃費型エンジンでも高回転時のエンジンパワーを犠牲にしない方向にチューニングしたものがVTEC-Eで、「ETi」グレードに搭載。このエンジンはSOHC4バルブでバルブ駆動機構にVTECを採用し、さらにリーンバーン(希薄燃焼)を実現しました。
VTEC-Eでは、低回転時にはふたつある吸気バルブの内ひとつを休止し、ガソリンと空気が混ざった混合気の流れに横方向の渦=スワール流を生成させ、燃焼速度の低下や着火性の悪化を抑えることに利用しています。
そして高回転時には、休止していた吸気バルブのひとつを駆動し、吸気側2バルブとして吸気量の低下を抑制しました。
この機構により、最高出力は94馬力/最大トルク13.4kg・mを発揮し、パワーステアリング装着車は20.0km/Lを達成。なお、車重は960kgに抑えられ、タイヤも当時としては細めの165/70R13を履いていました。
同一排気量の、低回転・高回転切り替え式VTECを搭載する「VTi」グレードは、130馬力/14.1kg・mのクラストップのエンジン出力と、14.1km/Lを達成。
燃費性能こそETiグレードのほうが優れていますが、VTiグレードと比較するとスペック的に見劣りを感じるものです。
そのためか、バルブ休止式VTECは2代目「フィット」などにも採用されましたが、積極的にアピールされることはありませんでした。
FB14サニーのCXは?あれだって燃費スペシャルだ。元々が燃費が良く12マイルサニーのキャッチコピーだったから僅かながらの燃費向上だったが