旧車や絶版スポーツカーだけじゃない!? じわじわ価格高騰している車3選

ここ数年で、旧車やネオクラッシックカーと呼ばれるクルマや、絶版高性能車の中古価格が世界的に高騰しています。しかし、そうしたモデル以外でも、価格が高騰しているクルマも存在します。そこで、現在じわじわと価格が上がりつつあるモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

すでに価格が上がってきている絶版車を振り返る

 ここ10年ほどで、1980年代から1990年代にかけて生産された高性能車の価格が、世界的に高騰してしまいました。代表的な例では日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ」、ホンダの「タイプR」シリーズなどです。

往年の絶版スポーツカーや旧車ではなくても価格が高騰してきているクルマたち
往年の絶版スポーツカーや旧車ではなくても価格が高騰してきているクルマたち

 また、もっと最近のクルマでも、限定販売された高性能車は軒並みプレミア価格で取引されています。

 旧車も限定車も希少価値によって投機の対象となり、需要と供給のバランスから価格高騰はある程度仕方のないことですが、あまりにも高騰しているため、本当に乗って楽しみたい人が手に入れられないのが由々しき事態です。

 こうした価格高騰の傾向は、クラシックスーパーカーから始まったといわれていますが、次第に車種が拡大し、より新しい年式のモデルにまで波及してしまいました。

 一方で、こうした希少な高性能車以外でも、中古車の価格が高騰しているケースもあります。

 そこで、現在、相場が全体的に上がってきているクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「アルトワークス」

今のところ新型が出る予定はまったくの未定となっている「アルトワークス」

 1980年代はターボエンジンの普及によって、国産車の高性能化が一気に加速し、やがてメーカー間のパワー競争が始まりました。

 このパワー競争は軽自動車にも拡大し、スズキは1987年に初代「アルトワークス」を発売。550cc直列3気筒DOHCターボエンジンは最高出力64馬力を発揮し、これが出力自主規制の上限となり、軽自動車においてはパワー競争に終止符が打たれました。

 その後、アルトワークスは代を重ねて進化を続けましたが2000年をもって一旦は消滅したのち、2015年に5代目アルトワークスとして復活を果たしています。

 5代目のエンジンの最高出力は64馬力と不変ですが、トルクの向上とアクセルレスポンスを高めるために専用のターボチャージャーを装着。

 また、スズキの軽量化技術が惜しみなく投入された結果、わずか670kg(5速MT、2WD)という軽量なボディを実現し、シャープな加速は軽自動車のなかでも随一の性能を誇りました。

 さらに、専用チューニングされたサスペンションや強化されたブレーキと軽量な車体が相まって、高い旋回性能を発揮しました。

 駆動方式は「ワークス」伝統の4WDモデルも設定され、トランスミッションは5速MTに加えてパドルシフトを搭載したスズキ独自のAMTである5AGS(オートギアシフト)もラインナップするなど、まさに新時代のアルトワークスでした。

 しかし、2021年12月に9代目アルトが発売されるとアルトワークスは廃止され、今のところ次期型の登場は不透明な状況です。

 そのため、高年式低走行の物件はすでに新車価格を上回っており、全体の相場も上がってきています。おそらく、次期型が出ることがアナウンスされるまで価格高騰が続きそうです。

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●日産「ノート NISMO S」

シリーズでは最後の純ガソリンエンジン・ホットモデルとなる「ノート NISMO S」

 日産は2020年12月に、同社のコンパクトカーの主力モデルである「ノート」を全面刷新して発売しました。

 3代目となったノートは、2代目でベストセラーとなったシリーズハイブリッド「e-POWER」を全車に展開し、出力と燃費性能の向上と、安全性能、走りの質まですべてがグレードアップされました。

 しかし、3代目の登場によって、純粋なガソリンエンジンを搭載したホットモデルの「ノート NISMO S」が廃止となってしまいました。

 2014年に新グレードとして追加されたノート NISMO Sは、外装に専用のエアロパーツを装着してカラーリングも専用とされ、内装もスポーツシートと専用の小径ハンドルを採用し、インパネまわりは赤い差し色でコーディネートされるなど、NISMOシリーズに共通するスポーティな装いとなっていました。

 エンジンはNISMO Sのためだけにチューニングされた1.6リッター直列4気筒自然吸気を搭載。高圧縮比化してハイリフトカムシャフトが組み込まれるなどのメカチューンが施されて最高出力140馬力を発揮し、組み合わされるトランスミッションは5速MTのみと硬派でした。

 さらに足まわりでは強化サスペンションと専用のブレーキシステム、補強による車体剛性のアップやハイグリップタイヤを装着するなど、NISMOモデルにふさわしいシャシ性能を実現。

 ノート NISMO Sは貴重な1.6リッター自然吸気エンジンを搭載したホットハッチでしたが、前述のとおり2020年12月で生産を終えました。

 現在、2020年モデルは新車価格を上回り、フロントフェイスが変更された後期型ならば200万円前後が相場で、今後二度とMTモデルが出ることがないことを考えると、ノート NISMO Sの中古車価格が下がることは、ほとんど期待できないと思われます。

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●ルノー「カングー」

日本におけるルノー車のなかでベストセラーだった2代目「カングー」

 フランス本国では「働くクルマ」として愛されているルノー「カングー」は、2002年から日本に導入され、2009年にはボディサイズを大型化した2代目が発売されました。

 カングーはリアの両側ともスライドドア(手動)のハイトワゴンで、デザインと使い勝手の良さから日本でもヒットを記録し、ルノー車のなかでトップセラーに君臨しました。

 ボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmと、幅は大きめですが全長が短い分取り回しは良好です。

 エンジンは前期型が1.6リッター直列4気筒自然吸気でしたが、2014年に最高出力115馬力を発揮する1.2リッター直列4気筒ターボが追加され、後に全車1.2ターボに統一されました。

 駆動方式はFFの2WDのみで、トランスミッションは当初5速MT/4速ATでしたが、後期型では6速MT/6速DCTに換装されました。なお、4速ATの頃はMT車が40%台、6速DCTとなってもMT車が10%台と、スポーツカーならずともMT車比率が非常に高いのが特徴でした。

 そして、2021年3月にフランスで3代目の新型カングーが発表され、同年7月に2代目日本仕様のファイナルバージョンとなる400台の限定車「カングー リミテッドディーゼル MT」を発売。日本では最初で最後のディーゼルエンジン車で、この400台をもって2代目は生産を終了しました。

 現在、高年式のモデルでは新車価格と同等の200万円台後半から300万円台の前半で、全体の相場も上昇中。さらにリミテッドディーゼルは400万円台後半と新車価格よりも200万円以上も高額という、まさに異常な相場です。

 一方、2022年中に3代目の日本発売が予定されており、新型の登場が正式にアナウンスされれば、2代目の価格も大きく変動するかもしれません。

※ ※ ※

 最後に紹介したカングーと同様に、最終限定車などファイナルバージョンは、他のモデルでも高額な価格で取引されています。

 直近ではホンダ「S660 モデューロX」が該当し、現在は400万円前後の相場で中古車(登録済み未使用車を含む)が販売されています。

 しかし、もともとS660は売れていたモデルではなく、値上げを期待してか大量の個体が市場に出回って供給過多となっている状態で、今後、プレミア価格は一時よりも落ち着くと予想されます。

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