「営業マンの本音は?」 クルマは「現金一括orローン」どっちが良い? 多様化する購入方法、正解はある?

マジメな営業担当者ほど残価設定ローンをすすめる?

 歩合制度に関してもユーザーと販売店の営業担当者ではイメージが少々異なるようです。

「たしかに営業担当者にとって歩合給はうれしいものですが、給与に占める歩合の割合は、よほどのスーパー営業スタッフでない限りそれほど大きくありません。

 そのため、営業担当者が『大儲け』するために、ローンを強くおすすめするということはまずないと思います。

 お客さまのご意向を無視してしまう例があるとすれば、残価設定ローンや個人向けリースでの販売を伸ばしたいという会社側の意向に忠実な『マジメな営業担当者』なのかもしれません。

 ただ、お客さまの意向に沿わない無理な契約はトラブルのもとであり、結果的に会社の損になってしまうので、できるかぎりお客さまのニーズを優先するようにしています」

クルマの購入は車両価格以外にさまざまなお金がかかるのも気にするべきポイント
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 そもそも、なぜ販売店は残価設定ローンや個人向けリースを強くすすめるよう指示を出しているのでしょうか。

 そこには、金利や契約手数料によって利益を得られるといった事情以外の理由もあるようです。

 ある販売店関係者は次のように話します。

「これまで販売店の利益の大半は新車販売によるものでしたが、将来的な人口減少が見込まれる日本では、新車販売にいつまでも頼り続けるわけにはいきません。

 そこで、多くの販売店が、メンテナンスや車検など既存顧客向けのサービスを強化したり、中古車販売をおこなったりしています。

 残価設定ローンや個人向けリースでは、契約期間終了後には車両を返却することが前提であるため、お客様さま確実に販売店に戻ってきます。

 そこで、新たな商談をおこなうことができるという点が、販売店が現金一括を嫌う本当の理由ともいえます。

 また、経歴の明らかな中古車が戻ってくる、つまり中古車販売における仕入れの場となるのも、残価設定ローンや個人向けリースの大きなメリットです」

※ ※ ※

 現金一括よりも、残価設定ローンや個人向けリースのほうが販売側のメリットが大きいのは事実なようです。

 しかし、それは単に営業担当者の歩合給が良くなるからというよりは、縮小する新車市場のなかで、顧客とのつながりを維持していきたい販売店側の切なる願いという側面が強いといえます。

 インターネット上には、「残価設定ローンや個人向けリースは、金利(手数料)が高いためだまされてはいけない」という強い表現の言説が見られることがあります。

 しかし、手数料分のメリットが得られると感じるなら、残価設定ローンや個人向けリースという選択肢は決して悪いものではありません。

 重要なのは、営業担当者の話を鵜呑みにすることなく、自分自身で契約内容をしっかり理解し、納得したうえで最適なプランを選ぶことだといえます。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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