前輪駆動車は運転が楽しくないってホント? 優れたハンドリングを実現した画期的なFF車3選

安定したコーナリングを得意としたFF車とは

●三菱「FTO」

 三菱「FTO」は、同時期に発売されていた「GTO」の弟分として、1994年10月に発売されました。

 1971年発売の「ギャランクーペFTO」の名前を受け継いでいますが、FTOはFF化されていたランサー・ミラージュ系のシャシを用いたFF2ドアクーペです。

三菱「FTO」
三菱「FTO」

 エンジンは3種類で、2リッターV型6気筒(6A12型)は「MIVEC」と称する、ホンダの「VTEC」と同様の可変バルブタイミング&リフト仕様の200ps/20.4kg・mと固定バルブタイミング仕様の170ps/19.0kg・m、1.8リッター直列4気筒(4G93型)の120ps/16.5kg・mが搭載されていました。

 ボディは、4320mmの全長に比較的長い2500mmのホイールベース、そして1735mmの広い全幅で、高いボディ剛性とマルチリンク式のリヤサスペンションなどにより高いハンドリング性能を誇りました。

 さらに特徴的だったのはATで、三菱お得意の「INVECS-IIマニュアルモード付ファジイ制御」を搭載していました。

 このATは200以上の変速パターンが記憶され、Dレンジではドライバーの運転に合わせた変速制御がおこなわれるようになっています。

 また、シフトレバーをDレンジから左側に倒すとマニュアルモードとなり、レバーの前後操作でギヤをドライバーの思い通りに選択できました。

 ATは登場当初こそ4速でしたが、1997年2月には5速へと進化しています。

 FTOは、クーペならではの流麗なスタイル、よく吹け上がるMIVECエンジン、高いハンドリング性能、特徴的なATと非の打ち所がないクーペで、1994-1995年のカーオブザイヤーを受賞しました。

 しかし、クーペ市場は当時すでに縮小傾向にあったために販売は芳しくなく、2000年7月にGTOとともに生産を終了しました。

●マツダ「ランティス」

 マツダ「ランティス」は1993年8月に発売されました。

 マツダの経営状態にも影響した「クロノス」と「ファミリア」の間に位置するクルマで、ドアガラスにサッシがないタイプの4ドアセダンと、リアにバックドアを設け、ファミリア系列にラインナップされていた「アスティナ」の後継的位置づけとなる4ドアクーペの、2種類のボディスタイルで登場しました。

 エンジンは、2リッターV型6気筒(KF-ZE型)の170ps/18.3kg・mと、1.8リッター直列4気筒(BP-ZE型)135ps/16.0kg・mの二本立てでした。

 どちらかというと5ドアハッチバックのV型6気筒エンジン搭載車がイメージリーダーで、新しい感覚を感じさせるモデルに見られていました。

 さらにランティスは、1996年に始まった新衝突安全基準を先取りして適合した第一号車で、新しいシャシによるボディ剛性の高さも売りのひとつでした。

 一般的に、重量がかさむV型6気筒エンジンを搭載すると前輪の荷重が大きくなりすぎ、コーナーではアンダーステアが出やすくなるものです。

 そこをランティスは、高いボディ剛性とサスペンションの剛性でこのアンダーステアを軽減。ステアリングを大きく切っても操舵が効く、安定したコーナリングを可能としていました。

 さらには当時日本国内で開催されていたツーリングカーレースのJTCCにも出場するなど、スポーツ性能を全面的に押し出したモデルでもあったのです。

 残念ながらレースでは芳しい成績は残せなかったものの、FF車のハンドリングを向上させた1台であることに変わりはありません。

 スタイルとハンドリング性能から、「通好みのクルマ」としてファンを集め、1997年12月まで生産されました。

※ ※ ※

 現代のFF車は、かつてのようにアンダーステア一辺倒ということは少なくなっています。

 FF車が増えはじめた頃と比較すると、タイヤの性能が向上、サスペンション取り付け部分の剛性強化、ボディ剛性の強化、さらに横滑り防止装置との協調した駆動力制御と相まって、FR車と比較しても駆動方式によるハンデはほとんどなくなったといえます。

 しかし、前輪が操舵と駆動を受け持っており、フロントタイヤの負担が大きいことに変わりはありません。

 スポーツドライビングとは、絶対的に高性能なクルマを操縦することではなく、クルマの欠点を補いながら速く走らせることだとすれば、FF車にはFR車とはまた違った楽しみがあるといえます。

 FF車をスポーツドライビングが可能なレベルまでアップしたこの3台は、自動車のハンドリング史のなかで燦然と輝き続けることでしょう。

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3件のコメント

  1. 優れたハンドリングを実現した画期的なFF車と評しながら
    ハンドリングやサスペンションについては何も語らず酷い選考理由ですね、
    他にもハンドリングで好評だったFF車はあるし
    サスペンションにこだわりを見せたFF車もあるのに
    この3選にはそういった逸話も見えてこない
    ただスポーツ性が印象的なFF車を選んだようにしか見えないが、
    例えばスーパーストラットサス組んだセリカやレビン/トレノを選外にしたのはなぜ?
    と問いたいね。

  2. この時期のインテグラタイプRって直線番長でそれで気持ちいいものかね?
    直線時はぶっちぎるがコーナーが続くと2ランク下の車でもすぐに追いつけるのだが…。

  3. ホンダはリアドアのない正真正銘のFFクーペを蘇らせろ
    自動車業界はただのリアドアのある後席が不便な偽物をクーペを言い張る習慣をやめろ

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