「タイヤが取れそう」 ハの字カスタムは車検OK? 迫力ある見た目もメリット・デメリットはいかに

クルマのカスタムでタイヤが取れそうなほど角度がついていることがあります。こうした「ハの字」のカスタムにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

ボディからはみ出るタイヤ!「ハの字」のクルマは速い!?

 カスタムカーの展示イベントでは、タイヤが大きく「ハの字」に傾いているクルマを見かけることがあります。
 
 基本的には、乗り心地は悪くなる印象を受けますが、ハの字のタイヤにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

タイヤが「ハの字」に見えるネガティブキャンバー(ネガキャン)のメリット・デメリットは?
タイヤが「ハの字」に見えるネガティブキャンバー(ネガキャン)のメリット・デメリットは?

 カーカスタムの業界では、タイヤのセッティングに角度をつけることを「キャンバーをつける」と表現されることがあります。

 キャンバーとは、クルマを真正面から見たときのタイヤの傾きを表しており、フェンダーから外側に向かって「ハの字」になっている場合は「ネガティブ・キャンバー」、その逆で「V字」になっている場合は「ポジティブ・キャンバー」となります。

 これらは「ネガキャン」「ポジキャン」と呼ばれており、極端なネガキャンの場合には「鬼キャン」と呼ばれることもあります。 

 とくにネガキャンは、前述したようにカスタムカーに多く見られるため、ドレスアップの手法のひとつとして認識している人も少なくないかもしれません。

 しかしネガキャンは、もともとモータースポーツで用いられたことがはじまりで、れっきとした「走るためのセッティング」のひとつです。

 速度にかかわらず、クルマは曲がるとき、遠心力でタイヤの一部に荷重が集中する状態となります。

 例えば、右に曲がる場合には、左側のタイヤの外側と右側のタイヤの内側に荷重がかかる構造です。

 荷重のかかり方は、速度が速ければ速いほど大きくなるため、サーキットなどの高速走行時では、かなり大きな荷重がタイヤの一部にかかっていることになります。

 そうすると、タイヤと地面の接地面も実質小さいことになり、得られるグリップ力も低下。コーナーの旋回スピードが落ち、ラップタイムは必然的に遅くなってしまいます。

 その状態のままで走行を続けても、コーナリングの度にタイヤは最大のパフォーマンスを発揮できていないことになるため、コーナリングの際に荷重がかかることを前提に、あらかじめタイヤに角度をつけはじめたのがキャンバーの角度を調整する起源とされています。

 さらに、ネガキャンのメリットについて自動車整備士のA氏は「直進安定性やハンドリングの良さにも影響もあります」と話し、走りに特化するためには、ネガキャンもひとつの重要なセッティングであることがうかがえます。
 
 このように、主にモータースポーツを楽しむ人の間で広まったキャンバーですが、いつしか「キャンバー=速い=カッコいい」という風潮になり、一般のクルマ好きの間にもドレスアップ手法として浸透していきました。

 なお、そうしたドレスアップとしてキャンバーがつけられる場合には、見た目のカッコ良さが重視され、よりワイド&ローを強調できる、鬼キャンにする人が多く見られます。

【画像】こりゃスゴい! タイヤがメチャ出てる! 超「ハの字」のカスタムカーがアツい(13枚)

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