「タイヤが取れそう」 ハの字カスタムは車検OK? 迫力ある見た目もメリット・デメリットはいかに

ネガキャンの入庫はお断り? デメリットとは

 荷重のかかり方などを適切に計測したうえで、計算されてつけられたキャンバーは、前述のようにサーキットなどの走行において、旋回スピードを向上させるといった効果が得られます。

 一方で、ドレスアップの一種として角度などを計算せずにキャンバーをつけた場合には、あらゆるデメリットも考えられます。

 国産メーカー販売店の整備士は、キャンバー角度のついたクルマについて「基本的にキャンバーのついたクルマの多くは違法改造車とみなされ、販売店では入庫を断られる可能性があります」と話します。

 車検では、真正面からクルマを見たときにタイヤがフェンダーからはみ出している、いわゆる「はみ出しタイヤ」が認められていません。

 また、はみ出しタイヤになっていなかったとしても、車輪の中心からフロント側は30度、リア側は50度までの範囲はフェンダー内に収まっていなければならないという規定があるため、その範囲を超えると違法改造車とみなされます。
 
 さらに、そのほかのデメリットについて整備士は「街乗りをするとタイヤが偏摩耗し、交換頻度が高くなります」といいます。

 当然といえば当然ですが、タイヤは地面に接地している部分から摩耗していくため、ネガキャンの場合には、タイヤの内側だけが減っていきます。

 そのうえ、クルマの荷重をその部分だけで支えていることになるため、減り方も激しく、タイヤの交換頻度が高くなります。

 このようなことを考慮すると、タイヤにはキャンバーをつけず、0度(ニュートラル)の状態が最適だと感じる人も多いかもしれません。

 ところが、前出の整備士は「モデルによっては純正の時点でキャンバーがつけられていることもある」といいます。

 ほかにも、極端なキャンバー角は駆動輪に取り付けられるドライブシャフトの「等速ジョイント」にも負荷がかかり、突然の破損につながる危険性もあります。

ネガティブキャンバーは迫力のあるカスタムだが車検範囲に注意が必要
ネガティブキャンバーは迫力のあるカスタムだが車検範囲に注意が必要

 純正仕様でキャンバーがつけられているのには、どのような意義があるのでしょうか。

 実は、純正でキャンバーがつけられているモデルはいくつかありますが、その多くが見た目ではわからない程度のゆるいキャンバー角度になっているそうです。

 ただ、モデルによっては若干の傾きを感じるようなものもあり、スポーツカーは高速走行に備えてネガキャンにされていたり、人がたくさん乗るミニバンなどは、車重が重くなってタイヤに負荷がかかることを予想して、あえてポジキャンにされていたりします。
 
 もちろん、どれも車検適合の範囲内であり、あくまでもナチュラルなキャンバーですが、こうしたモデルごとの特性を踏まえたうえでのセッティングがされています。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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