日本の道にジャストなサイズ感が良かった! 超魅力的な往年のコンパクトFRクーペ3選

近年、世界的にも絶滅が危惧されているのが、比較的コンパクトなサイズのFR車です。昭和の時代には各メーカーから数多くの小型FRセダン/クーペが販売されていましたが、次第に減少して現在に至ります。そこで、往年の魅力的なコンパクトFRクーペを、3車種ピックアップして紹介します。

もはや絶滅寸前! 往年のコンパクトFRクーペを振り返る

 現在、世界的にSUV人気は高くなり、もはやブームといっても過言ではありません。その一方で、人気が低迷しているモデルの生産終了が相次いでいます。

今でも色褪せない魅力がある往年のコンパクトFRクーペたち
今でも色褪せない魅力がある往年のコンパクトFRクーペたち

 ミニバンのようにブームを経て定番車種となるケースもありますが、人気となるクルマの多くは時代によって変わるのが一般的です。

 そのため、どんなに人気だったクルマでも、ニーズの変化によって急激に人気が衰えることには抗えません。

 そんなクルマのひとつが、コンパクトなFRクーペ/セダンです。とくにクーペは2ドアということが使い勝手の悪さをクローズアップさせ、昭和の終わり頃から減少の一途をたどり、現在は絶滅が危惧されています。

 そこで、日本の道路環境にマッチしたサイズ感で、魅力あふれる往年のコンパクトFRクーペを3車種ピックアップして紹介します。

●日産「S15型 シルビア」

まだまだ進化の途中ながら惜しまれつつ消えた「S15型 シルビア」

 スポーツカーファン、FR車ファンにとって、復活が望まれる1台といえば日産「シルビア」ではないでしょうか。

 最終モデルは1999年に発売されたS15型ですが、S14型からのフルモデルチェンジで、ボディがダウンサイジングされたモデルとしても広く知られています。

 S15型 シルビアのボディサイズは全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmとコンパクトな5ナンバーサイズで、同時に、ボディラインもエッジの効いたフォルムとすることで全体的に歴代でも屈指のシャープなスタイリングです。

 また、車両重量もS14型比で20kgも軽量化されたことも、大きなトピックスでした。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒自然吸気「SR20DE型」と、同ターボの「SR20DET型」で、ターボ車では最高出力が220馬力から250馬力へとパワーアップ。

 新たに採用された6速MTと相まって、FRスポーツとして走りのポテンシャルは大きく向上しました。

 S15型 シルビアは大いに注目されましたが、2ドアクーペのニーズの低下や、排出ガス規制強化などの対応が困難なことから、発売からわずか3年10か月後の2002年11月に生産を終了し、シルビアの長い歴史に幕を下ろしました。

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●マツダ「ロードスタークーペ」

オープンカーベースのクーペという異色のモデルだった「ロードスタークーペ」

 前出のS15型 シルビアは「王道」といえるコンパクトFRクーペですが、2台目に紹介するマツダ「ロードスタークーペ」は異色のモデルです。

 ロードスタークーペは、1998年に登場した2代目ロードスターをベースに、クローズドボディに仕立てられた限定モデルでした。

 生産はマツダの関連会社で、エンジニアリング事業とカスタマイズ事業を展開している「マツダE&T」が担当しました。

 ボディはオープンボディのロードスターのシャシに、専用のプレス型で製作されたスチール製のルーフやリアフェンダーなどを手作業で溶接してつくられ、ロードスターのシルエットを生かしつつも個性的でスタイリッシュなクーペフォルムを実現。

 また、ルーフパネルの追加等による重量増は約10kgに抑えられており、ロードスターのコンセプトである「人馬一体」の走りが守られました。

 ラインナップは4タイプ用意され、標準仕様で最高出力125馬力の1.6リッター直列4気筒エンジンに5速MTを組み合わせた「ロードスタークーペ」に、最高出力160馬力を発揮する1.8リッターエンジンの「タイプA」「タイプE」「タイプS」を設定。スペック的にはベース車と変わっていません。

 1.8リッター車はそれぞれ内外装のデザインコンセプトとトランスミッションが異なり、タイプSとタイプAにはビルシュタイン製ショックアブソーバーが装着されるなど、各部がチューニングされていました。

 ロードスタークーペは2003年から2005年まで生産され、価格は235万円(消費税抜、初期モデル)からと、新作パーツの追加と手作業による大改修が実施されたモデルながら、比較的安価な設定でした。

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●BMW「E36型 M3」

直6エンジンのコンパクトFRクーペという魅力的な組み合わせを実現した2代目「M3」

 BMWが誇る高性能車といえば「M」シリーズです。とくに突出してハイスペックなのが「Mハイパフォーマンスモデル」と呼称されるシリーズで、各セグメントとジャンルごとにラインナップされています。

 歴代でも初期のモデルで日本でも人気を博したのが1985年に誕生した初代「M3」です。

 BMWのレース活動などを担当する「BMWモータシュポルトGmbH(現在のBMW M社)」が、欧州ツーリングカーレースに参戦する目的で開発。2代目3シリーズ(E30型)の2ドアセダンをベースに、最高出力195馬力を発揮する2.3リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、ボディもブリスターフェンダー化されるなど大きく手が入れられていました。

 そして、1993年には2代目M3が登場。ボディは当初2ドアクーペのみでしたが、後に4ドアセダンとオープンモデルのカブリオレが追加されました。

 初代M3ほどボディは大胆な変更がおこなわれておらず、控えめなエアロパーツが装着されるにとどまり、ハイパフォーマンスモデルであることは、見た目からは大きくアピールしていません。

 なお、クーペのボディサイズは全長4435mm×全幅1710mm×全高1335mmと、かなりコンパクトに収められていました。

 エンジンはBMW車では伝統の3リッター直列6気筒DOHCを搭載し、6連スロットルが与えられ、最高出力は286馬力を発揮。さらに1995年には3.2リッターに排気量を拡大し、最高出力は321馬力まで向上しました。

 トランスミッションは3リッターモデルに5速MT、3.2リッターモデルでは6速MTに加え、同社初の2ペダル・ロボタイズドMTである6速SMGが組み合わされましたが信頼度が低く、発展途上といえました。

 2代目M3は1999年まで生産され、M3のなかでも中古車が比較的安価なモデルでしたが、近年は3.2リッターモデルを中心に価格が高騰しています。

※ ※ ※

 国産モデルではトヨタ「GR 86」とスバル「BRZ」が、数少ないコンパクトFRクーペとして販売されています。

 両車とも小さな市場に向けて発売されたということを考えると、トヨタとスバルの英断といえるでしょう。

 今後、他メーカーが参入することはほとんど期待できませんから、本当に貴重なモデルです。

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