日本のEVは「家電と同じ轍」を踏むか 押し寄せる中国メーカー パクリの時代は終わった?
中国で50万円EVが売れるも、薄利多売は得策ではない?
では、安い中国製EVについてはどうでしょうか?
中国国内で販売が好調なのは、50万円前後の上汽通用五菱汽車「宏光MINI EV」です。
中国では2000年代から山東省を中心に、20万円から50万円ほどの低速小型EVの中小メーカーが数多く生まれました。ただし、品質に不安定な部分が残るなどで、本格普及には至りませんでした。
一方で、中国地場の商用車メーカーや乗用車メーカーが、新たなる商材として研究開発を進め、2010年代後半から低価格でも一定程度の性能を保証する小型EVが登場するようになりました。
こうした小型EVを中国政府が海外展開を積極的に後押しするかどうかは、やや疑問が残ります。
なぜならば、第一汽車の高級EVのように、日本メーカーと堂々と肩を並べることができるクルマの安定的な生産と販売を優先する可能性が考えられるからです。
「安かろう良かろう」という薄利多売ではなく、付加価値も売価も高い分野で中国勢は日本を含めたグローバルでのEVシフトを進めていくのではないでしょうか。
第一汽車に代表される中国メーカーの今後のEV戦略を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。