日本のEVは「家電と同じ轍」を踏むか 押し寄せる中国メーカー パクリの時代は終わった?
パクリの時代は完全に終わった
さて、第一汽車に限ったことではありあませんが、日本人が中国車と聞くと、日本車や欧州車の外観を模倣したようなパクリのイメージを持っている人がいまだにいるかもしれません。
クルマの性能やメーカーとしての技術力についても、未知数と感じている人が日本では少なくないでしょう。
確かに2000年代半ばまでの中国市場は、北京や上海のモーターショーを取材すると、展示ブースが簡素だったり、並んでいるクルマはどこかで見たような感じのデザインだったり、またクルマの作りも粗いという印象があったのは事実です。
実際に、さまざまな中国車を試乗しても、乗り心地や操作安定性の面で日本車や欧州車のレベルには達していないと感じました。
それが、2000年代後半から2010年代に入り、状況は一気に変わっていきました。
中国での生産台数の右肩上がりが続くなか、欧米日韓の大手メーカーと中国地場メーカーとの合弁事業が次々と生まれ、さらにドイツを中心とする大手部品メーカーが積極的に中国メーカーに部品供給をするようになってから、中国地場メーカーの技術力は急激に高まっていきます。
また、2010年代半ばになると、電動化、通信によるコネクテッド化、そして自動運転の分野では、中国政府が司令塔となり政府主導でIT産業界との融合を促進しています。
一部では、欧米日韓との技術の連携が進めながらも、中国独自の規格などによって中国の独自の研究開発を加速させるといった、巧妙な戦略を取っている印象があります。まさに、オールチャイナでの挑戦です。
一方で、中国市場でのEVは、経済政策の「第12次5ヵ年計画(2011年から2015年)」では、25の都市や地域で公共交通を主体とした電動車普及の国家プロジェクトがありました。
その際に設置された充電インフラが多いのですが、整備不良などで使用不能になっているケースがあります。
また、新車購入補助金の段階的な減額があったり、そうした方針が急に変わったりと、EVの需要と供給のバランスがベストマッチしているとはいい切れない状況だともいえます。
日本としては、来るEVシフト本格化時代を見据えて、中国市場での実情から学ぶことが多いはずです。