なぜ? 日産が新型「エクストレイル」発売後に旧型を発表 他車種と異なる事情とは

中国日産は新型「4代目エクストレイル」と旧型「3代目エクストレイル」を併売しています。中国では新旧併売は珍しくないようですが、エクストレイルに関しては他車種と異なっているようです。

新型エクストレイル発売後にあえて旧型エクストレイルを導入するワケとは

 2021年12月1日、日産の中国における合弁会社の一つ、鄭州(ていしゅう)日産は旧モデルとなる3代目「エクストレイル(T32)」を新たに「エクストレイル オナー」(中国名:奇駿 栄曜)として販売することを発表しました。

 同じ中国では2021年4月に4代目エクストレイル(T33)の販売を開始していますが、なぜ新型モデルを発売した後に旧型モデルを再度投入するのでしょうか。

新型「エクストレイル(中国仕様)」が日産グローバル本社ギャラリーにてお披露目された!(撮影:加藤ヒロト)
新型「エクストレイル(中国仕様)」が日産グローバル本社ギャラリーにてお披露目された!(撮影:加藤ヒロト)

 4代目は、2020年6月に北米向け「ローグ」の中国版です。

 中国では新旧モデルを併売することはそこまで珍しいことではありませんが、なぜ、エクストレイルも新旧併売の手法を採用したのでしょうか。

 4代目は3代目と同じルノー・日産・三菱アライアンス共用のCMF-C/Dプラットフォームを4代目用に改良されたものだとされています。

 中国仕様のエンジンは新開発KR15DDT型1.5リッター直列3気筒ターボエンジンのみの設定。

 北米向けの新型ローグは2021年モデルまでPR25DD型2.5リッター直立4気筒エンジンがラインナップされていましたが、2022年モデルでは廃止され、中国向けモデルも元々KR15DDT搭載モデルしか設定されていません。

 ボディサイズに関してホイールベースは3代目と同じ2705mm、全長もさほど変わっていません(4641mm→4648mm)が、全幅に関しては3代目が1821mmであったのに対して1839mmと、18mmもワイドなボディとなっています。全高は1699mmと10mm低い数値です。

 満を持して中国市場に投入された4代目ですが、売れ行きは好調ではないようです。

 販売台数を見比べてみると、3代目の販売台数が2020年10月に1万5721台だったのに対し、同じく4代目の2021年10月は2942台。前年同月比で65.62%の減少となっています。

 4代目発売直後の2021年4月は13068台を販売して中国で販売される全SUVのなかで13位に位置していましたが、それも2021年10月は86位に落ち込んでいます。

 なぜ、それほどまでに販売が不調なのでしょうか。

 さまざまな要因があるようですが、もっとも可能性の高い理由はパワートレインの設定です。

 先代モデルはMR20DD型2.0リッター直列4気筒エンジンと、QR25DE型2.5リッター直列4気筒エンジンの2種類が用意されていました。

 もちろん、新エンジンも出力が特段低いというわけではありませんが、「3気筒」であることにネガティブな感情を持つ消費者は少なくないようです。

 また、中国のインターネット上ではちょっとした事件も起こりました。

 4代目に搭載するエンジンは通常のアイドリングが約900回転で保持されるものの、ボンネットを開けると突然約1200回転まで上がることが発見されたのです。

 インターネット上では「回転数を上げることで、ボンネットを開けたときに3気筒特有の振動をわかりにくくするためではないか」とウワサされるようになりました。

 これに対し東風日産は「ボンネットを開閉することでECUがメンテナンス時と判断、バッテリーの補助を行うために回転数を上げている」と釈明しています。

 ですが、このような現象はほかのモデルでは聞かれないものであるとし、この「不自然」な理由は簡単には受け入れられませんでした。

 このようなウワサも広まり、ネガティブなイメージがついたのかもしれません。

※ ※ ※

 加えて、旧モデルの販売継続は日産の中国における合弁会社の特殊な事情も関係していると考えられます。

 日産は鄭州日産のほからにもうひとつ、東風汽車との合弁会社「東風日産」を中国で展開しています。

 規模としては東風日産のほうが比べ物にならないほど大きく、ピックアップトラック「ナバラ(納瓦拉)」と、ナバラがベースのフルサイズSUV「テラ(途達)」以外の日産車はすべて東風日産が製造し、販売しています。

 ちなみに、日産車以外はナバラのプラットフォームを使用したピックアップトラック「鋭騏」を東風汽車向けに鄭州日産が製造しています。

 エクストレイルの製造・販売はずっと東風日産がおこなってきました。

 今回発売された3代目も製造は東風日産がおこないますが、販売は鄭州日産がおこなう形となります。

 現時点で2種類の日産車しか製造・販売していない、風前の灯となりつつある鄭州日産から、人気のある3代目のエクストレイルをあえて販売させることで、鄭州日産を救済したいという思惑があるのかもしれません。

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6件のコメント

  1. 会社を助けるという情緒的な目的ではなく、収益メリットが鄭州日産にあると判断した結果と考えます。
    新しい車は日産に対するライセンス費が高く古い車はライセンス費が低い契約をしている為、鄭州日産がメリット有りと判断したと思います。

  2. 見た目は良くなったが、作りが安っぽく感心できない!カタログ通りの商品開発を期待する!

  3. 誤字が気になる記事。文筆業が生業なら推敲してから公開して欲しい。

    • このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
      修正いたしました。

  4. 中国仕様の日産エクストレイルは完全に中国日産製である、かなり中国は壊れやすいクルマであるッ!??2年前の2019年12月31日、大晦日でレバノン逃亡中カルロス・ゴーン元会長はかなりえェ~加減な性格であるッ!??何故日本で開発しないッ!せっかくの日産のクルマの開発が台無しじャンッ!SUVばかりじャ話にならンッ!もっとマシな日本製の日産のクルマを作れェ~ッ!??やっぱ中国の自動車産業がかなりバブル崩壊であるッ!嘗めンなヨォ~ッ!中国ゥ~ッ!習近平(チュー・チンペイ)!完全に皆で力を合わせてッ!叩き潰してやらァ~ッ!??

  5. 結局のところ
    いまの日産は
    顧客目線にたったサービス精神は地に落ち
    ゴーン負債の清算どころか
    目先の損得勘定でしか物事を決められていないようであり、
    場当たり的な実販売と
    関心をひき人気得ようとする誇大宣伝との
    ギャップが酷い酷すぎるよ。
    その差に落胆しかえって人気を失っていることに気づいていないのだろうか?

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