昭和のデザインってカワイイ! 1970年代に誕生した名作コンパクトカー3選

近年、日本の自動車市場で安定した人気となっているのがコンパクトカーです。現在の国産コンパクトカーの基礎となったモデルが今から50年ほど前に確立し、以降、一気に勢力を拡大しました。そこで、1970年代に誕生した名作コンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。

1970年代に登場したコンパクトカーを振り返る

 日本の道路事情にマッチしたサイズで、使い勝手が良く経済的なモデルとして息の長い人気をキープしているのが、コンパクトカーです。

1970年代に誕生した黎明期のFFコンパクトカーたち
1970年代に誕生した黎明期のFFコンパクトカーたち

 現行コンパクトカーの主流である2ボックススタイルのボディや、FFを採用したモデルの本格的な普及が始まったのは50年ほど前のこと。そして、次第に人気を集め各メーカーからFFコンパクトカーが次々に登場しました。

 1リッターから1.5リッターのエンジンを搭載したモデルを中心に、一気に市場を拡大して現在に至ります。

 そこで、コンパクトカーの黎明期だった1970年代に登場した名作コンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「チェリー」

日産初のFF車で優れたパッケージングとデザインが特徴の「チェリー」

 日産は1966年に、マイカー時代の到来に向けた大衆車の初代(ダットサン)「サニー」を発売しましたが、ちょうど同時期に欧州では小型車のFF化が始まっており、日産はいち早くFFコンパクトカーの開発に着手。

 そして1970年に、FRのサニーよりもさらに小型で同社初のFF車として「チェリー」を発売しました。

 チェリーはFFのメリットを生かして、ワンクラス上のモデルと同等の広さを誇る室内空間を実現。

 発売当初のボディバリエーションは極端なショートボディの2ドアセダンと4ドアセダンでしたが、1971年にはスポーティなクーペが登場しました。

 搭載されたエンジンは、サニー用に開発された1リッター直列4気筒OHVの「A10型」をベースに横置きに対応する改良がおこなわれ、最高出力58馬力(グロス、以下同様)を発揮。トランスミッションはBMC「ミニ」で確立された2階建て構造を採用し、エンジンの下にトランスミッションを配置することでパワートレイン長のコンパクト化を可能としました。

 また、当時の日産はモータースポーツへの参戦を積極的におこなっており、2代目サニーにはレースで活躍した高性能モデルがラインナップされ若者から人気を博していたことから、チェリーにもスポーティな「X-1」シリーズを追加。

 X-1はSU型ツインキャブ仕様の1.2リッターエンジンを搭載し、最高出力80馬力までチューンナップされていました。

 一方で、まだFR車が主流だった時代とあって、チェリーの独特なドライブフィールや運転姿勢、ペダルレイアウトに違和感を覚えるユーザーが多かったといいます。

 そこで、1974年に2代目となる「チェリー F-II」へとフルモデルチェンジした際に、諸問題の改善がおこなわれました。

 その後、チェリー F-IIから初代「パルサー」へとバトンタッチし、さらに初代「マーチ」誕生への礎となりました。

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●ホンダ「シビック」

優れたパッケージングと経済性から日米で大ヒットを記録した初代「シビック」

 ホンダは1972年に、それまでのモデルから大きくコンセプトを変えた新発想のコンパクトカーである初代「シビック」を発売しました。

 駆動方式はFFを採用し、2ドアのみでスタートしたボディは全長3405mm×全幅1505mm×全高1325mm(DXグレード、以下同様)と、現在の軽自動車並のコンパクトサイズですが、四隅にタイヤをレイアウトしたことで乗車定員5名の広い室内空間を実現しました。

 エンジンは最高出力60馬力の1.2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、トランスミッションは発売当初4速MTのみの設定で、1973年にはホンダ独自の自動変速機「ホンダマチック」が追加設定されました。

 装備が簡素だったこともあり、車重も615kgと非常に軽量で、60馬力とはいえキビキビとした走りを実現していました。

 後に3ドアハッチバックや5ドアハッチバック、上級グレードの「GL」、CV型ツインキャブ仕様のスポーティモデル「RS」が登場するなど、多様化するニーズに対応しました。

 そして、1973年12月には、排出ガス浄化技術「CVCC」を採用した1.5リッター車を追加。このCVCCエンジン搭載車は、クリア不可能といわれたアメリカの排出ガス規制「マスキー法」の規制値を世界で初めてパスし、1975年モデルから北米にも輸出されました。

 CVCCエンジン搭載のシビックは経済的にも優れた低公害車としてアメリカで大ヒットし、ホンダ車の本格的なグローバル化への足掛かりとなりました。

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●ダイハツ「シャレード」

「リッターカー」という新たなカテゴリーの先駆者だった初代「シャレード」

 1967年からトヨタと業務提携していたダイハツは、トヨタ「パブリカ」のOEM車として販売されていた「コンソルテ」の後継車として、1977年に自社開発した次世代型FFコンパクトカー「シャレード」を発売しました。

 広い室内、コンパクトなボディ、低燃費の3つの実現がコンセプトで、これらを実現するために特許・実用新案の出願件数は300件以上にも及びました。

 そのひとつがエンジンです。世界初となる4サイクル1リッター直列3気筒を搭載し、当時はオイルショックによる省エネブームという背景もあり、経済性に優れるシャレードはたちまちヒットを記録。

 デビュー当初のボディは5ドアハッチバックのみで、サイズは全長3460mm×全幅1510mm×全高1360mmと非常にコンパクトながら、身長175cmの人が前後左右にゆったりと座れる室内空間を確保していました。

 そして1978年には、若いユーザーに訴求する3ドアハッチバックの「シャレード クーペ」を発売。ユニークなリアサイドウインドウを採用するなど、個性的かつスタイリッシュなモデルが加わりました。

 その後、1983年に登場した2代目では、乗用車用としては世界最小排気量の1リッター3気筒SOHCディーゼルエンジンを搭載した「シャレードディーゼル」をラインナップするなど、さらに経済性を追求。国内の「リッターカー」市場をけん引する存在となりました。

※ ※ ※

 2021年も終わろうとしていますが、国内の販売台数を見るとコンパクトカー市場ではトヨタのひとり勝ちが続いています。

 トヨタ車以外では日産「ノート」とホンダ「フィット」が健闘しているものの、台数の差は依然として大きい状況です。

 直近ではガソリン価格の高騰がたびたび話題となっていますが、トヨタのコンパクトカーは燃費性能が突出しており、まだまだトヨタ一強の流れが続くと予想されます。

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1件のコメント

  1. 大学の4年間をシビック 1200 RSで過ごしました。中古車ですが結構安く手に入れて、いつもピカピカにして大事に乗りました。エアコンもパワーステアリングもないですが、運転の基本を学んだスポーテイ・コンパクトです。燃費も良く、キビキビと走って大満足でした。就職時に事情があって手放しましたがそれが当分心残りでした。

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