日産「全固体電池EV」を開発へ 2兆円投資で電動化加速 今後10年の方向性を示す3種類のコンセプトカーとは

日産が今後10年間の経営戦略をまとめた長期ビジョン「日産アンビション2030」を発表しました。今後5年間で約2兆円を投資し電動化を加速。全固体電池搭載の新しいコンセプトカー3種類も公開しました。

電動車販売比率は2026年度までに国内55%以上に

 日産は2021年11月29日、電動化の加速を柱とする長期ビジョンを発表しました。

 今後10年間の経営戦略をまとめた長期ビジョン「日産アンビション2030」で日産は、今後5年間で約2兆円を投資し、クルマの電動化を加速。

 2030年度までに電気自動車(EV)15車種を含む23車種以上の新型電動車を投入し、グローバルで電動車比率を50%へ拡大させるとしています。

日産のコンセプトEV「日産サーフアウト」
日産のコンセプトEV「日産サーフアウト」

 この電動化の推進でカギを握るのが、全固体電池(ASSB)です。

 ASSBは、従来の電解液を使用しておらず、高出力で小型化・薄型化しやすい、発火しにくいなどの特徴があり、世界各国で開発が進められています。

 日産は、2024年度までに横浜工場内にパイロット生産ラインを導入し、2026年度までに1400奥億円を投資、2028年度までに自社開発のASSBを搭載したEVを市場投入する計画です。

 ASSBを採用することで、さまざまなセグメントにEVを投入できるようになり、動力性能や走行性能の向上も見込めます。充電時間も従来の3分の1に短縮するのが目標といいます。

 ASSBのコストは、2028年度に1kWhあたり75ドル、その後、65ドルまで低減させ、EVとガソリン車のコストを同等レベルまで引き下げることを目指します。

 電池の供給体制は、2026年度までにグローバルで52GWh、2030年度までに130GWhへと引き上げる予定です。

 また、競争力を高めるためEV生産と調達の現地化を推進。日産独自のEV生産ハブ「EV36Zero」を日本、中国、米国を含む主要地域へ拡大していく方針です。

 電動車については、2026年度までにEVとe-POWER搭載車を合わせて20車種導入し、販売比率は、欧州で75%以上、日本で55%以上、中国で40%以上、米国(2030年度まで、EVのみ)で40%以上まで引き上げます。

 また日産は今回の長期ビジョン発表にあわせて、3つの新しいコンセプトカー「マックスアウト」「サーフアウト」「ハングアウト」を発表しています。

 これらはいずれも、車体、シャシー、バッテリーを統合したEVプラットフォーム「ニッサンEVテクノロジービジョン」を採用。

 スケートボードのような形をしており、「e-4ORCE」「プロパイロット」や高いエネルギー密度のASSBを組み合わせています。

 マックスアウトは走りを重視したオープンカーです。超軽量・超低重心をはじめ、座席をフラットに格納して広い室内空間を作れるなどの特徴があります。

 サーフアウトは、高い走破性を重視したピックアップトラックです。フラットで低い荷台を備え、また、目的地に到着した後もEVを電力源として活用できます。

 ハングアウトは、広大かつフラットな車内空間を備えたSUVです。自宅と仕事場に加えて「第3の空間」と位置付け、高い快適性と静粛性、目的地に到着した後は映画館のようなシートで家族や友人と映画鑑賞ができるなどの体験を可能としています。

 なお、日産はこれら3種類のほか、新世代クロスオーバーEV「日産チルアウト」もあわせて公開しています。

 このモデルは「CMF-EVプラットフォーム」を採用。モダンで滑らかなデザインのなかに、先進安全技術を搭載し、「ワクワクするドライビングと、使い勝手の良い快適な室内空間」を実現する新しいモビリティといいます。

※ ※ ※

 日産の内田誠社長はオンライン発表会で、「日産のおかげで毎日がワクワクする、という社会に必ず変えていきます」と、長期ビジョンの展開に向けた決意を示しました。

【画像】個性的! 全固体電池搭載の日産EVコンセプトカー全種類を見る(60枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

2件のコメント

  1. いいぞニッサン!
    やっちゃえ日産!

  2. こう言うと語弊があるが、ゴーンは劇薬だったが、切り捨てて身軽になったことは幸いになったし、BEVの発売も彼無くしては上市はなかったろう。
    これは結果オーライ的な見方だが、リーフの11年の販売で発火事故が皆無は素晴らしいし、その後e-POWERでBEVとのシナジー効果を出して、アリアでBEV専用車台使用できたことはアドバンテージを感じる。一方で可変ストロークエンジンを出せた。これなども、e-POWERやREXには使える発電機用エンジンとなり得る。三菱のPHEV技術も取り込めるから、HVと言う袋小路に入り込んだ他社より戦略は描きやすいだろう。評価すべきは1㎾h当たり6,000円程度はこれから10年間世界のトップランナーと互角に以上他に戦える戦略目標。勝ちに行く方法がしっかり分かっていることを欧米中に示せた。
    全固体電池は必須条件でこれも搭載時期を示したことは大きい。
    現在、アリアの性能を800万円で出せる企業は限られている。ましては国内では唯一だろう。
    日産が市場を面白くするような気がして期待している。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー