スバル新型「WRX S4」2.4Lターボ&新CVTで走りが激変!? スペックよりも本質重視の高性能セダンへ進化した!

スバルのスポーツセダン「WRX S4」がフルモデルチェンジし、新型モデルが発表されました。新型WRX S4はどのような進化を遂げたのでしょうか。サーキット試乗でその実力を試してみました。

新型「WRX S4」は継承と革新をより極めたパフォーマンスセダンに進化!

 1989年に登場した「レガシィ」でスバルのイメージが大きく変わりましたが、その勢いをより高めたのが1992年に登場した「インプレッサ」でしょう。

 そのなかでも「WRX」はWRC(世界ラリー選手権)のベース車両として開発され、レガシィ譲りの水平対向4気筒2リッターターボ(EJ20)をひと回りコンパクトなボディに搭載。まさに戦うために生まれたモデルといって良いでしょう。

フルモデルチェンジして5代目となるスバル新型「WRX」
フルモデルチェンジして5代目となるスバル新型「WRX」

 その後、2000年に2代目、2007年に3代目、2014年に4代目が登場していますが、世代を重ねる毎に「モータースポーツのベース車両」から「スバルの走りのフラッグシップ」としての色が強くなっていったのも事実です。

 それがより明確になったのは先代となる4代目で、速さを追求した「WRX STI」に加えて、「WRX S4」が新たにWRXファミリーに加わりました。

 WRX S4は歴代モデルが築き上げてきた運動性能をキープしながら、これまでWRXが苦手としていた環境性能や燃費性能、さらには快適性能、内外装の質感にもこだわり、「ハイスペックなのに乗りやすい」を体現した「新時代のスポーツセダン」を表現。

 導入当初は「2ペダルのWRXって……」とマニアを中心に賛否があったものの、蓋を開けると「WRXに興味があるけど、自分には関係ないクルマ」と敬遠していたユーザーや輸入車からの乗り換え層にも高く支持され、累計で約2万台を発売したのです。

 同時期に発売されたステーションワゴンの「レヴォーグ」と合わせて、国内販売ではスバルの重要な柱のひとつとなっています。

 そんなWRXが2021年11月25日に5代目へとフルモデルチェンジされました。

 2022年にWRXは生誕30周年を迎えますが、開発陣は「次の世代に向けてWRXはどうあるべきか」を思案し、開発コンセプトを「継承と革新をより“極める”」と定めました。

 その本質は「歴代WRXの価値」と「スバル新世代のファンtoドライブ」を高次元での両立。その実現のために数多くの新たな武器が投入されています。

 ただ、正確にいうと今回発表されたのはWRX S4のみ。噂されているWRX STIの後継となるモデルに関してのアナウンスはありません。

 今回、筆者(山本シンヤ)はひと足先に、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで新型WRX S4を見て・触って・乗ってきました。

 新型WRX S4はどのような進化を遂げたのでしょうか。まずは走行性能からチェックしてみます。

 まずはエンジンですが、伝統の水平対向4気筒ターボは変わりませんが、排気量が2リッターから2.4リッターへと拡大されています。気になるスペックは先代(2リッターターボ)の300馬力/400Nmから新型の2.4リッターターボは275馬力/375NmへとWRX初のスペックダウン。

「えっ、何で?」と思う人も多いと思いますが、いまの時代、WRXも燃費性能を無視するわけにはいきません。

 JC08モード燃費は、先代の11.8km/Lに対して新型は12.7km/Lへと向上。とくにCAFE(企業別平均燃費)が他社よりも厳しいスバルにとっては、本来ならWRX続投も危ぶまれる状況ですが、「スバルにとってWRXは大事な存在」であり、次の世代に繋げるためにこのような英断をおこなったのです。

 トランスミッションは先代と同じく高トルク対応の2ペダルCVTですが、大幅アップデートに合わせて「リニアトロニック」から「スバル・パフォーマンス・トランスミッション(SPT)」へと名称を変更。

 開発テーマは「CVTの逆襲」で、レスポンス/ダイレクト感を極限まで向上、加えてDCTと並ぶシフトアップ/シフトダウン(ブリッピング機能付)制御や、横G検知によるシフトホールド機能の採用も相まって、CVTのネガティブな部分はほぼ払しょくされています。

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