スバル新型「WRX S4」2.4Lターボ&新CVTで走りが激変!? スペックよりも本質重視の高性能セダンへ進化した!
賛否両論ある黒いガーニッシュは機能部品として必要不可欠だった
続いて、新型WRX S4のデザインを見ていきましょう。2021年9月に北米仕様が世界初公開されたとき、エクステリアに賛否が飛び交いました。
先代は「インプレッサではない独立したモデル」といいつつもインプレッサの匂いが拭えず、「スポーツセダンの割には地味」「レヴォーグのセダン版?」といった印象がありましたが、新型は好き嫌いが明確に分かれるものの、一目でWRXとわかる強烈な“個性”を身に纏いました。
このデザインは、2017年の東京モーターショーでお披露目されたコンセプトカー「ヴィジブ・パフォーマンスコンセプト」のイメージが色濃く反映。
筆者は「スバルはコンセプトカーはカッコいいけど、量産になると…」と常に歯がゆい想いを抱いており、その点を考慮すると高く評価すべきだと思っています。
ちなみにボディ下部とフェンダーを覆うガーニッシュは「SUVみたい」という声もありますが、実はれっきとした機能部品になります。ガーニッシュの表面には空力シボが施されており、これにより空気の流れを整えて操縦安定性に寄与するといいます。
仮にこのシボを取ったり、もしくはうえから塗装などをおこなうと、確実に操縦安定性が落ちるとそうです。
インテリアは縦型の大型ディスプレイ採用のインパネからわかるようにレヴォーグと共通デザインですが、ブラック×レッドのコーディネイトや新形状のレカロシートの採用(STIスポーツRにオプション設定)でWRX独自の世界観を強調しています。
ひとつ残念だったのは、フル液晶メーターにブーストメーターが追加されているものの、デザインはレヴォーグと同じというところです。
個人的には、ニュル24時間を戦うレーシングカーと共通イメージの専用表示が欲しかったと思います。
また、これまでWRXではあまり注力されることのなかった居住性ですが、新型はプラットフォーム刷新に合わせて大きくレベルアップし、前席のショルダールーム(+30mm)/カップルディスタンス(+20mm)ともに拡大しました。
STIスポーツRはシートバック/クッション構造を刷新したレカロシートの採用で、ホールド性はもちろん、フィット感や掛け心地も大きくレベルアップ。後席も抜かりなしでロングホイールベース化により足元スペース向上(+25mm)やシートの改善により快適性も向上しました。
さらにデザインで犠牲になったように見えるトランクスペースですが、先代同等の実用性もシッカリ確保されています。
当然、先進安全デバイスも抜かりなしです。広角化されたステレオカメラや電動ブレーキブースターを組み合わせた新世代「アイサイト」に加えて、3D高精度地図データとGPS情報を利用する先進運転機能「アイサイトX」を標準装備(GT-H EXおよびSTIスポーツR EX)。
今回はサーキット試乗ということで試していませんが、レヴォーグと同スペックであることを考えると長距離ドライブの大きな武器になってくれるでしょう。
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新型WRX S4はスペックよりも本質を目指した一台で、総合力の高さが魅力です。例えるならば、「一瞬しか使えない300馬力/400Nm」よりも「使い切れる275馬力/375Nm」というモデルへと進化しました。
そして、昨今電動化やCAFE規制、さらには騒音規制などスポーツ系モデルへの風当たりが厳しい時代ですが、伝統をシッカリと継承してくれたスバルに対して素直に感謝したいと思います。
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