スバル新型「WRX S4」2.4Lターボ&新CVTで走りが激変!? スペックよりも本質重視の高性能セダンへ進化した!

こんなに滑らかな水平対向ターボは初めて!?

 実際に走らせるとどうでしょうか。新型WRX S4の走りは、「体感上はパフォーマンスアップ」「クルマはスペックでは語れない」ということを実感しました。

 具体的には2リッターターボのウィークポイントだったアクセルを踏んだ際の応答性や過給の段付きが解消されており、ドライバーの操作に対して忠実かつ俊敏な加速をしてくれます。

走りが激変したスバル新型「WRX」
走りが激変したスバル新型「WRX」

 これほど滑らかな水平対向ターボは初めてかもしれません。これは+400ccを活かした実用トルクの太さに加えて、ターボ制御の進化(電子制御エアバイパスバルブ/電子制御ウエストゲートバルブ)が大きいでしょう。

 高回転域においては乗り比べると2リッターターボのほうがパンチやパワー感はありますが、数値ほどの差は感じられません。

 一瞬のタイムラグの後にドーンと加速をおこなう2リッターターボのほうが体感的な力強さはありますが、2.4リッターターボのシームレスな加速は、加減速が多いリアルワールドでは強い武器となるはずです。

 エンジンに加えてSPTがホントに良い仕事をしています。従来のリニアトロニックは“CVTとしては”良くできていましたが、SPTは「CVTだから」という枕詞が不要なくらいの仕上がりです。

 具体的にはCVTがもっとも苦手な「直結感」や「小気味良さ」を備えています。とくにドライブモード「スポーツ/スポーツ+」は8段の疑似変速とスポーツ変速制御が盛り込まれ、シフト制御は/ダウン時は「お前はDCTか?」と思うくらいのキレのあるフィーリング。正直CVTであることを忘れてしまったくらいです。

 シフト制御も巧みで、Dレンジのままでもコーナー進入時にシフトダウン(それもブリッピングしながら)、コーナー途中はギア段をキープ、そしてコーナー脱出後は素早いシフトと、すべてクルマ任せでOK。今回のサーキット試乗では、1度もパドルに触れることがありませんでした。

 ただ、サーキットでの連続走行では油温上昇が少々気になります。CVTオイルクーラーが欲しい所ですが、燃費性能との兼ね合いで標準装備化は難しいとのこと。個人的には用品設定を希望します。

 フットワークはどうでしょうか。プラットフォームは3代目、4代目に使われたSIシャシーに別れを告げ、WRX初となる「スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)」を採用。それもフルインナーフレーム構造や構造用接着剤などを用いた新世代スペックです。

 すでにレヴォーグで先行投入されていますが、開口部の大きいワゴンボディのレヴォーグよりも剛性面で有利なセダンボディであることや、さらに絶対的な走りの限界が高いWRXに合わせた最適化により、車体ねじり剛性は+28%、フロント車体横曲げ剛性は+14%アップ。

 もちろん単なる剛性アップに留まらず、剛性バランスや力の連続性にこだわった「強靭でしなやか」な車体に仕上げられています。

 体幹を鍛えた車体にジオメトリー最適化(マスオフセット低減)&ロングストローク化された(フロント:+5%、リア:+20%)したサスペンション(フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン)を組み合わせです。

「GT-H」グレードはKYB製のコンベンショナルダンパー、スポーツ性能を高めた「STIスポーツR」グレードはZF製電子制御ダンパー(CDC)が奢られます。

 さらに電動パワーステアリングはステアリング入力とモーターアシストを分離させた2ピニオン方式、タイヤは245/40R18サイズのダンロップ、AWDシステムは高出力モデルに採用されるVTD-AWDですが、スポーツモード(LSD効果を下げ差動制限を抑制)が追加された進化版となっています。

 その印象はパワートレイン以上の驚きで、あれだけレベルが高いと思っていた先代が色褪せてしまうくらいの激変っぷりです。開発陣のレヴォーグの超・革新を超える「極・革新」という言葉にウソ偽りはありません。

 具体的には車体は硬さだけでなくしなやかさを持っていること、フロントからリアへの力の伝達に遅れがない(=応答性の高さ)だけでなく伝わり方が非常に滑らかなこと(=力の連続性がある)、ロールを上手に活かす/綺麗に動かすセットアップだが無駄な動きを出さないこと、ステアリングのレスポンス/直結感が非常に高いことなどです。

 これらは新型レヴォーグで感じたこととよく似ていますが、そのなかでもWRXがとくに突出しているのは、これらの要素がバランス良くハーモナイズされたことで、「一体感」と「コントロール性の高さ」がずば抜けて高められているのです。

 先代は綺麗に上手に走らせるのは意外に難しかったのですが、新型はノーズの入りが格段に良くなっているうえに、リアもピターっと安定するなど、これまでの悩みが解消。

 元々WRXは決して前後重要バランスのいいクルマではないのですが、まるで重量配分が適正化されたかのように4つのタイヤがコントロールできているのです。

 STIスポーツRはこれに加えて「やっぱりWRXだよね」と「本当にWRX?」という二面性が楽しめます。

 それはパワーユニット、ダンパー、EPS、AWD、エアコン、アイサイトの特性が変更可能な「ドライブモードセレクト」が大きく寄与していますが、各モードの変化の度合いはレヴォーグ以上の「キャラ変」を見せてくれます。

 コンフォートにするとスポーツセダンとは思えない穏やかで優しい乗り味、逆にスポーツ+はスバルのFRスポーツ「BRZ」並みの軽快でキビキビとした乗り味となります。

 ちなみにスポーツ+ではVTD-AWDが旋回性重視の「スポーツモード」になりますが、ドライバーの意志(フットブレーキやアクセルの加減)で弱アンダーから弱オーバーまで姿勢変化を楽しめるなど、単に安定して曲がるだけでなく自在性が増しているのがニクイところ。この辺りはスバル「安心と愉しさ」をより体現しています。

 このように絶対的な運動性能のレベルアップはいうに及ばず、その高性能を誰でも引き出せる懐の深さ、そしてWRXが苦手としていた快適性の引き上げなどにより、個人的にはWRX史上最良のシャシーバランスを実現していると思いました。

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