なぜ「冬タイヤ」は雪道で止まる? 夏タイヤと何が違う? 交換前に気をつけたいコトとは
かつては「スパイクタイヤ」が主流?
スタッドレスタイヤが主流になる前には、冬のタイヤといえば「スパイクタイヤ」が一般的でした。
スパイクタイヤとは、タイヤのゴム表面に金属の鋲が埋め込まれたものであり、1970年代に凍結路でのグリップ性能に優れているとして使用する人が多くなりました。
その一方で、凍結していない路面で走行してしまうと、スパイクがアスファルトを削り、粉塵を発生させてしまうというデメリットもあります。
粉塵は人体に悪影響をおよぼすとして、とくに昼夜で気温差があり、路面状況が変化しやすい地域などで問題視されました。
そんななか、1980年代にスタッド(鋲)がない「スタッドレスタイヤ」が海外から輸入されるようになり、その後現在のように冬用タイヤとして広く浸透しました。
しかし1990年には、環境庁が「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」を発出。
このなかの第7条には「何人も、指定地域内の路面にセメント・コンクリート舗装又はアスファルト・コンクリート舗装が施されている道路の積雪又は凍結の状態にない部分において、スパイクタイヤの使用をしてはならない」と示されています。
「指定地域」というのは、環境庁が定めた、住居が集合している地域やその周辺地域を指しており、例えば、北海道札幌市や群馬県前橋市、長野県諏訪市などが指定されています。
これによって、日本各地でスパイクタイヤを使用することが実質的に困難となり、スタッドレスタイヤが普及していきました。
スタッドレスタイヤの登場により、冬の期間、凍結路でも非凍結路でも同様に走行できるようになったのは、ユーザーにとっては大きなメリットですが、その一方で、シーズンごとに交換をする手間が必要だったり、使用しない間は大きなスペースをとるなどのデメリットもあります。
そこで、近年では夏冬兼用のオールシーズンタイヤも登場し、各タイヤメーカーがその利便性をアピールしています。
ただ、豪雪地帯など、路面が日常的に積雪もしくは凍結しているような地域でのオールシーズンタイヤの使用は推奨されていないため、自身が走行する路面の状況に合わせたタイヤ選びが重要です。
※ ※ ※
クルマと道路の唯一の接点であるタイヤは、安全性や走行性能に直接的に関わる非常に重要なものです。
一方で、クルマを使用する際に毎回タイヤの状態をチェックする人はそれほど多くないかもしれません。
冬に入る前に、いま一度タイヤの状態を確認してみることをおすすめします。
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