高性能ワゴンはスバル「レガシィ」だけじゃない! ブームになった「快速ワゴン」5選
個性的で勝負した当時の高性能ワゴン車たち
●三菱「レグナム」
三菱「レグナム」は、8代目「ギャラン」をベースにしたワゴンモデルとして1996年に登場。ギャランシリーズの長い歴史のなかで、国内では初めてのワゴンモデルです。
当時は量産モデルとして世界初のGDIエンジンが話題になりましたが、ギャラン伝統のハイパワーエンジンも搭載していました。
ハイパワーグレードはギャランとともに「VR-4」を名乗り、2.5リッターV型6気筒ターボエンジンを搭載。
最高出力はレガシィ ツーリングワゴンと同等の280馬力または260馬力/37.0kgfでしたが、レグナム最大の特徴は電子制御システムにあります。
リヤデフには、「ランサーエボリューションIV」にも搭載された後輪の左右駆動力配分システム「AYC」が装着され、車重をものともしない軽快なコーナーリングを実現。
また、当時のこのクラスでは珍しかった横滑り防止装置の「ASC」も搭載し、安定性にも配慮していました。
レガシィ ツーリングワゴンが機械的な構造で走りの性能を追求していたのに対し、レグナムは「電子制御による高性能な走り」を目指したモデルだったのです。
●マツダ「カペラワゴン」
マツダ「カペラ」のワゴンモデルは、1988年に「カペラカーゴワゴン」として追加されました。
1989年にはプレッシャーウェーブ式スーパーチャージャを装着した82馬力/18.5kgf・mのディーゼルエンジンを追加し、静かで速いディーゼルエンジン搭載ワゴンとして、レガシィとは別の形で独自の地位を築いていったのです。
ワゴンは1994年10月にビッグマイナーチェンジで「カペラワゴン」に改名し、その後1997年にフルモデルチェンジされました。
このモデルのワゴンは、セダンのホイールベースを60mm延長しており、7人乗りモデルも設定。
加えて、セダンには設定されない2.5リッターV型6気筒エンジン(200馬力/22.8kgf・m)を搭載するなど、静かで高級な走りを目指しました。
ディーゼルエンジンも、4バルブ化と1000気圧の高圧直噴化により、100馬力/22.4kgf・mにパワーアップし、のちに登場する「アテンザ」の片鱗が見えるモデル展開をしていました。
●ホンダ「アコードワゴン」
1997年にフルモデルチェンジされたホンダ「アコードワゴン」は、スポーツ性能を強化したモデルでした。
ボディ剛性を向上し、リアサスペンションには5本リンク式のダブルウィッシュボーンを与え、走りの性能を向上させていました。
ワゴンボディは、ルーフからバックドアへとなだらかな傾斜が連続したスタイルが特徴で、実用性よりもスタイルを重視。荷物の積載性こそやや低下しましたが、かつてクーペが持っていた優雅さがワゴンに変わったことを感じさたものです。
セダンには、F20B型DOHC VTEC(190馬力)の「SiR-T」や、マイナーチェンジで200馬力を発揮する「ユーロR」などが追加されましたが、ワゴンにも同等のモデルがありました。
1999年に追加された「SiR」は、200馬力/22.5kgf・m の2.3リッターVTECエンジン(H23A型)を搭載。最高出力こそセダンのハイパワーモデルであるユーロRと同等ですが、100ccアップされた排気量がエンジン低回転時の走りに余裕をもたらしました。
SiRには4WDモデルもあり、高回転、高出力エンジンと4WDの組み合わせは、他車にはない存在となりました。
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各社はセダンに搭載していたハイパワーエンジンを使って、快速ワゴンを設定していました。
この後、多くの人はワゴンの便利さに慣れたためか、市場の中心は箱型ミニバンやヒンジドアミニバンへと移行していき、結果として、セダンとワゴンのハイパワーエンジン搭載車は市場が収縮。2000年代半ばからはクルマ離れの傾向が表れてきました。
今回紹介した「快速ワゴンの時代」は、ハイパワー車を楽しめた最後の時代だったのかもしれません。
カルディナってバンじゃないだろ