高性能ワゴンはスバル「レガシィ」だけじゃない! ブームになった「快速ワゴン」5選
昨今はワゴン車の需要が低迷していますが、1990年代後半から2000年代初めにかけて、ハイパワーエンジンを搭載したワゴン車が続々と登場しました。その筆頭ともいえるのがスバル「レガシィツーリングワゴン」ですが、ライバル車にはどのようなモデルがあったのでしょうか。
ワゴンブームをけん引した「レガシィ」とそのライバル車たち
現在はステーションワゴンの人気が低迷しており、国産メーカーのなかにはワゴン車のラインナップを持たないところもあるなど、車種が減少傾向です。
ワゴン車が減るなか、健闘しているのはスバル「レヴォーグ」でしょう。2020年に2代目へとフルモデルチェンジして人気を高めています。
そんなレヴォーグの前身は「レガシィ ツーリングワゴン」ですが、同車は1980年代末から盛り上がったスキーブームをけん引。若者からヤングファミリーの車種選びにも影響を及ぼし、1990年以降は荷物を積めるワゴンのブームが起こりました。
初代レガシィは1989年1月に発売され、トップグレードの「セダン RS」は新開発のEJ20Gエンジンを搭載し、220馬力/27.5kgf・mを誇っていました。
そしてワゴンモデルにターボエンジンが搭載されたのは、9か月遅れの1989年10月です。
セダン RS用エンジンを200馬力/26.5kgf・mにデチューンし、AT専用グレードの「GT」として搭載しました。
駆動方式は4WDで、電子制御で前後の駆動力配分を6:4から5:5まで配分する「アクティブトルクスプリット方式」を採用。レガシィツーリングワゴンの人気がより拡大したのは、このGTグレードが設定された頃です。
当時のワゴンというと実用性能が重視され、一部の車種を除いて実用エンジンしか搭載されず、運動性能は我慢が求められるモデルだったのです。
レガシィツーリングワゴンは、ハイパワーエンジンをAT車にも搭載したことが特徴で、ユーザーの選択肢を増やして好調な販売を記録しました。
この特徴は2代目以降のレガシィにも継承され、いわば「快速ワゴン」のジャンルを築いたのです。
1990年代末頃になると、各社がレガシィを追撃するワゴンを発売。それぞれの考えで「快速グレード」を設定しました。
今回は、各社の特徴が表れた「快速ワゴン」を5台ピックアップ、それぞれの魅力に迫ります。
●トヨタ「カルディナ」
トヨタ「カルディナ」は、「コロナ」や「カリーナ」のワゴン、バンモデルとして1992年11月に登場しました。
初代モデルは、1995年2月に175馬力の3S-GE型エンジン搭載車を設定。販売は好調でしたが、イメージの上でレガシィの牙城を切り崩すには至りませんでした。
1997年9月発売の2代目モデルでは、「セリカGT-Four」が搭載する3S-GTE型を搭載する260馬力/33.0kgf・mの「GT-T」を設定し、最高出力はレガシィのATモデルと並びました。
さらに2002年9月、近未来的なスタイルをまとった3代目モデルが登場します。
エンジンこそ旧型と同出力ながらシャシ性能をアップし、グレード名はセリカの「GT-Four」を継承しました。
シーケンシャルシフトマチック式ATやコイルバネ付きフロントストラットタワーバーなどを装着し、サーキットでの走行性能の高さも売りにしたモデルでした。
●日産 プリメーラ
日産「プリメーラ」は、2代目(P11型)の途中である1997年9月にワゴンを追加しました。当時のワゴン人気とプリメーラの人気から、待ちに待ったという人が多かったようです。
プリメーラワゴンの高性能グレードには日産初の可変バルブタイミング&リフト式のSR20VE型エンジンを搭載。このエンジンは高回転高出力型で、190馬力/20.0kg・mの性能を発揮しました。
しかし、トランスミッションには6速マニュアルモード付CVTだけが組み合わされ、エンジン性能を活かせているとはいえませんでした。
2001年1月にはP12型にフルモデルチェンジし、ワンモーションフォルムの近未来的なスタイルに変更されます。
同年中にSR20VEエンジンを204馬力/21.0kgf・mにパワーアップして搭載、しかも待望の6速MTとの組み合わせとなりました。
ワゴン本来の目的と高回転高出力エンジンやMTとの組み合わせはアンバランスですが、プリメーラワゴンは趣味とスポーツ性能を楽しめる貴重な存在でした。
カルディナってバンじゃないだろ