高速道路「トラックカルガモ走行」導入は秒読み!? 大型トラックとの付き合い方も変えるワケ

高速道路における大型トラックの「隊列走行後続車無人システム」、いわゆる「カルガモ走行」の最終調整が進められていて、2020年代中盤から後半にかけて日本で普及が進むといわれています。乗用車ドライバーから見た大型トラックとの付き合い方も変化するといわれる技術ですが、今後高速道路の景色はどう変わっていくのでしょうか。

トラックのカルガモ走行はすでに現実

 3台のトラックが電子的に連結して走行する風景が今後、高速道路で一気に増えそうです。連結した状態での総全長は60mにも及び、先頭のトラックにはドライバーが乗車し、追従する後方2台のトラックは運転席が無人の状態で走行する、いわばカルガモ走行です。

 正式には、トラックの「隊列走行後続車無人システム」と呼ばれる自動運転技術を使った仕組みのひとつです。

隊列走行するトラック
隊列走行するトラック

 これはけっして夢物語ではなく、政府を中心としてトラックメーカー各社が実用化に向けた最終調整に動いている段階で、2020年代の中盤から後半には日本で広く普及が進むと考えられます。

 そのほか、トラック物流については政府主導によるITを活用した大胆な変革に向けた議論が活発になっている状況です。

 そうなっていくと、乗用車や小型商用車のユーザーにとって、今後何がどう変わり、ユーザーにとってどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

 まずは、トラック「隊列走行」のこれまでの歩みと技術的な背景から見ていきます。

 日本では2013年、世界に先駆けて国の関係機関のテストコースで、4台の大型トラックが車間距離4mで時速80km巡航する姿がメディア向けに公開されました。

 その後、2010年代中盤になると、自動運転に関する技術開発や法整備がグローバルで進み、トラック隊列走行についても実用化に向けた流れが本格化します。

 そうしたなか、日本政府は「未来投資戦略2017」の一環として、2022年のトラック隊列走行実用化を目標に掲げました。

 そのうえで、関係各省庁・大学など研究機関・民間企業による産学官連携の戦略的イノベーション創造プログラム(通称SIP)の第二期(2018年から2022年)で、改めて政府目標を定めました。

 それによりますと、2020年度には高速道路で「隊列走行後続車無人システム」を技術的に実現し、さらに2025年以降には、高度な自動運転レベル4についても高速道路で採用することを目指すとしています。

 つまり、第二期SIPが終了する2022年以降には「隊列走行後続車無人システム」が段階的に実用化されていくことになります。

 乗用車や小型商用車のユーザーにとっては、大型トラックが電子的な連結によって「3台ひとかたまり」になることで、実質的に大型トラックに対する追い越しの回数が減ることになり、長距離移動での心理的なプレッシャーが少し減るなどのメリットがあるのではないでしょうか。

 新東名でさまざまな実証試験が成功している、最新の「隊列走行後続車無人システム」はどういった仕組みなのでしょうか。

 公開されている資料によりますと、走行速度が時速80kmで、車間距離10m以内を維持して安全に走行することが可能です。

 搭載するセンサーは、ステレオカメラ、ライダー、ミリ波レーダー、また地上に基地局を持つことで位置精度が高まるRTKと呼ばれる手法の高度なGPS機器を搭載するなど、一般的な自動運転技術の応用だと感じます。

 また、トラック物流という観点から、年間を通じたさまざまな天候の変化や、日中と夜間を問わず走行することが前提ですが、豪雨や強い降雪でカメラ等の検知機能が下がると利用できない場合もあります。

 もし、電子連結したトラックの間に乗用車などが割り込んできた場合、車外の表示で注意喚起し、それでも強引に割り込んできた場合は、後続トラックとの電子連結が解除されて、後続トラックは自動で減速して停止する仕組みです。

 別のケースとしては、先導トラックがドライ路面で時速80kmで急ブレーキをかけて完全停止すると、後続トラックとの車間距離は10mから8mまで縮まった状態で安全に停止するとの実験結果もあります。

 これは、先導トラックのアクセルやブレーキの作動データが、2台の後続トラックに対してほぼリアルタイムで伝わるような、トラック同士の通信システムを採用することで実現しています。

【画像】トラックの「カルガモ走行」普及で、何が起きる? 画像と一緒にチェック(10枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

やもめのジョナンサン へ返信する コメントをキャンセル

8件のコメント

  1. 仮にこの車列の真横から合流することになったら、一体どうしたら良いんでしょうかね?
    100メートル程度は隙間がほぼ無い状態なので、むりやり何処かにねじ込むしかありません。
    危険極まりないです。

  2. この隊列で休憩や休息はどうなるのだ?

    一台でも停めるのに苦労するのにw

  3. SA PAの拡大、増設…運送業に対する高速24h割引。
    色々と検討して貰えないかな??

    政府のお偉いさん、夜中の高速走ってくれよ?

  4. 無人走行とかやめろぃ!俺たち飯食えなくなるじゃねえか

  5. 前、無人走行テストとか書いてるバスが40キロ制限の道路を70キロは位は出てる速度で駆け抜けてったな………

  6. 乗用車、バイクの無理な割り込みほ無くならない。切り離されて停車されても迷惑。大型トラックの追い越しも無くならない。逆に渋滞作るだけ。要らない無駄な技術。もっと考えたら良くするとこあるんじゃない?

  7. 一般道からの出入りは、どーするの?高速道路に専用施設が必要になるのでは?鉄道輸送と同じ様に思う

  8. やれるものなら、是非やって欲しいけど本当に出来るのか?
    完全自動運転だって本来ならもう実用化一歩手前まで来てないといけない筈だけど。
    とてもムズカシイよね。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー