市販化が熱望されたものの無念! 東京モーターショーのイケてるコンセプトカー3選
本来は2021年10月に開催予定だった「東京モーターショー 2021」でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月の時点で開催中止が発表されました。これまで、数多くのコンセプトカーが東京モーターショーでお披露目され、なかには市販化されたモデルもあれば、コンセプトカーのみで終わったモデルも存在。そこで、市販化が熱望されたほど完成度が高かったコンセプトカーを、3車種ピックアップして紹介します。
東京モーターショーでお披露目された秀逸なコンセプトカーを振り返る
2年に一度開催されている「東京モーターショー」ですが、本来は2021年10月に第47回が開催される予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、本年4月時点でオンライン開催も困難ということから中止が決定されてしまいました。
東京モーターショーといえば、かつては世界5大モーターショーのひとつといわれる規模を誇っていましたが、近年は海外メーカーの出典数が激減していまい、だいぶコンパクトなショーになったことは否めません。
しかし、国産メーカーにとっては重要なショーであることに変わりなく、これまで膨大な数のコンセプトカーや市販予定車がお披露目され、来場者から注目を浴びました。
そうしたコンセプトカーのなかには、完成度が高く市販化が大いに期待されたモデルもあり、実際に市販されたモデルと市販されなかったモデルが存在。
そこで、市販化が熱望されたものの実現しなかったコンセプトカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「S-FR」
世界的にも貴重な存在である小型FRスポーツカーのトヨタ「86」とスバル「BRZ」は、2代目となる新型が発表されており、BRZはすでに販売を開始し、86ももうすぐ正式に発売となります。
2012年に初代が誕生した時点で大いに話題となり、日本だけでなく海外でも高い人気を誇りましたが、トヨタはさらにコンパクトなFRスポーツカーとして、東京モーターショー 2015にて「S-FR」を出展しました。
S-FRの外観はシャープな印象の86に対し、ボディ全体が丸みを帯びた可愛らしいデザインで、「ヨタハチ」の愛称で知られる「スポーツ800」を彷彿とさせました。
ボディサイズは全長3990mm×全幅1695mm×全高1320mm、ホイールベース2480mmと、86よりもひとまわりコンパクトに設定され、4シーターです。
エンジンのスペックは不明ながらフロントミッドシップに搭載し、前後重量配分の最適化と4輪独立サスペンションによって、優れたコーナリング性能を実現していたといい、トランスミッションは6速MTを搭載。
その後S-FRは、翌年の東京オートサロン2016にもレース仕様にカスタマイズされたモデルが展示されるなど、市販化に向けて大きな期待が高まりました。
実際に内外装のクオリティはコンセプトカーの域を超えた完成度だったことから、トヨタも市販化に向けて動いていたと噂されましたが、残念ながら開発は中止されたようです。
●日産「IDx」
東京モーターショー 2013で日産ブースに展示され、新型「シルビア」なのではと期待されたFRスポーツカーが「IDx」です。
それ以前も、日産はシルビアの後継車をイメージさせるコンセプトカーをモーターショーに出展した実績があり、IDxの登場でいよいよ現実味を帯びたと話題となりました。
IDxのスタイルは2ドアクーペで、公式にはアナウンスされていませんでしたが、デザインは「510(ゴーイチマル)」の愛称で呼ばれる3代目「ブルーバード」をオマージュしていたのは、誰の目からも明らかでした。
実際にエンジンは直列4気筒をフロントに搭載してリアを駆動するFRを採用していたこともあり、やはり510ブルーバードを彷彿とさせていました。
バリエーションはスタンダードモデルと、スポーティな「IDx NISMO」の2タイプが出典され、どちらもクラシカルな佇まいのデザインでしたが、IDx NISMOはリベット留めオーバーフェンダーのような造形のワイドフェンダーが採用され、フロントにチンスポイラー風バンパーを装着。外装のカラーリングは往年のレーシングカー、ダットサン「BRE 510」や「BRE 240Z」のカラーリングをモチーフにしていました。
内装では液晶モニターとアナログメーターが共存するネオクラシックかつシンプルなデザインのインパネで、IDx NISMOでは外装と同じくカーボン製部品をふんだんに使ったレーシーな装いです。
IDxは公開当時の反響も大きく市販化に期待されましたが、実現されませんでした。
なお、車名の「Dx」はローマ数字で「510」を表すことから、IDxは510ブルーバードをモチーフとしていたのは間違いないでしょう。
●ホンダ「スポーツEVコンセプト」
ホンダは東京モーターショー 2017で、「アーバンEVコンセプト」と「スポーツEVコンセプト」の2台のEVを出展しました。
このうちアーバンEVコンセプトのデザインを受け継いだ都市型EVの「ホンダe」が、2020年10月に発売されたのは記憶に新しいところです。
そして、もう1台のスポーツEVコンセプトは、デザインはアーバンEVコンセプトと共通項がありながら、AIを搭載した電動ピュアスポーツカーとして開発されていました。
外観はロングノーズ・ショートデッキのクラシカルな2シータースポーツカーのファストバックスタイルで、仮にエンジンを搭載していたならば間違いなくFRスポーツカーと想像できるフォルムです。
モーターの出力や搭載位置など詳細なスペックは明らかにされず、次世代のスポーツカーデザインを提案するスタディモデルとしてつくられました。
アーバンEVコンセプトがホンダeとして市販されたことを考えると、スポーツEVコンセプトの市販化も期待されましたが、現在までその動きは見られません。
※ ※ ※
前述のとおり、東京モーターショーの規模は昔と比べるとだいぶ縮小されてしまいました。実はこうした傾向は海外のモーターショーでも同様で、市場規模の偏りが理由のひとつといわれています。
本来、東京モーターショーのようなオートショーは、各メーカーが持てる技術をお披露目する「広報」の場でした。しかし、時代の移り変わりで、販売促進に直結する「宣伝」の場という意味合いが強くなりました。
そのため、中国などマーケットが大きい地域では多くのメーカーが大々的に出展し、マーケットにあまり期待できない地域では、出展を見合わせるようになったのです。
直近のオートショーはコロナ禍の影響で中止が相次いでしまいましたが、今後再開された時に、各メーカーの動きによってマーケットの最新の勢力図が見えてくるといえるでしょう。
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