新顔採用! 輸入車から乗換も目立つ日産 新型「オーラ」に込められたこだわりとは? 次世代日産スポーツ4WDにも期待大?
第二世代e-POWERでエンジンのかかる頻度はどれほど減少した?
次に、e-POWERの進化についてです。
これまで、キックス向けの改良、そしてノートおよびノート オーラでの第二世代e-POWERに関して日産側からさまざまな形で情報が公開されてきました。
なかでもユーザーが乗ってすぐに感じ取れるのは、発電機としてのエンジンがかかる頻度が大幅に減ったことでしょう。
この点について、チーフビークルエンジニアの渡邊明規雄氏やe-POWER開発関係者は今回、具体的な数値を出してくれました。
それによりますと、第一世代e-POWERに比べると、時速50km走行時で約半分、さらに低速の時速30km走行時では7割近く、エンジンがかかることがなくなっているといいます。
これはノート(2代目)やセレナ(5代目)など、第一世代e-POWER搭載車から得たビックデータを解析し、アクセルを踏むシチュエーションを細かく検証するなど、「極力エンジンをかけないエネルギーマネージメントを心がけた結果だ」といいます。
そのうえで、ノート オーラ同様にノートでも採用している、エンジンをかける場合でもエンジンが気にならないロードノイズが多い時を選ぶように設定しています。
e-POWER開発者は「理論上、ノートとノート オーラは、エンジンがかかる頻度は変わらない」としているものの、ノート オーラは遮音性が強いガラスやルーフ部分に遮音材を強化した点、またドライブシャフトにダイナミックダンパーを採用したことで音の伝わり方も変わっているなどの効果により、ノートと比べてさらにエンジンがかかる際の音が気にならなくなっているといえます。
もう1点は、e-POWER 4WDについてです。
フロントのパワートレインについては、ノートでは初代e-POWERから大きく引き上げ、さらにノート オーラでは最大出力で18%増の100kW、最大トルクで8%増の300Nmとしています。
これに加えて、リアモーターの強靭化によってノートとノート オーラの走りは大きく変わっています。初代e-POWERでは出力3.5kWだったものを、第二世代では一気に50kWまで高めているのですから、体感の差もはっきり出ます。
e-POWER開発者、また4WDに関する開発担当者は「3.5kWでは、いわゆる生活四駆であり、市場からは本格的な電動四駆が欲しいとの声があった」と開発の出発点を振り返りました。
そのうえで、当初は20kW程度を検討していたが、日産が目指す旋回時と加減速時での”上質さを極める次世代電動4WD”を実現するため、50kW・100Nmという設定に至ったとのことです。
モーターとしては、最大で100kW・195Nmと現在の2倍のポテンシャルがあるといいますが「あまりやんちゃ(な動き)にするのではなく、修正操舵なしで快く駆け抜けるため」というのが今回のノート オーラ向けです。
見方を変えると、今後、他の日産新型モデルで本格的なオフロード系SUVやスポーティモデル向けとして、より強力なe-POWER 4WDが生まれる可能性が十分にあるということでしょう。
幸先の良いスタートを切ったノート オーラが、次世代日産の行方を占ううえで重要なモデルであることは間違いなさそうです。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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