トヨタ「水素カローラ」がさらに進化! レース現場で水素を「はこぶ」挑戦! 技術革新は日進月歩?

水素エンジンに対して、小林可夢偉選手の感想は?

 前回以上に大きな進化を遂げた水素カローラの予選タイムは、Aドライバー・井口卓人選手が2分28秒603、Bドライバー・佐々木雅弘選手が2分27秒510を記録し、総合順位は45台中35位。

 このタイムはST-5クラスのトップのマツダ「ロードスター」より3秒以上速く、ST-4クラスのトヨタ「86」の遅いマシンの5秒落ちといった状況です。

 ドライバーによると「クルマが重いのでコーナーが厳しいですが、ストレートではいい勝負ですよ」とポジティブなコメントでした。

 ちなみに今回、この水素エンジンによるモータースポーツ挑戦のいいだしっぺの1人である2021年ル・マン ウイナーの小林可夢偉選手も現場に来ていたので、色々と聞いてみました。

――水素エンジンに対する海外での反応は?

 可夢偉:僕が富士で乗ったことを知っているので、色々な人が興味を持って聞きに来ますよ。欧州はBEVが先行していますが、そのなかには『水素っていいよね』という人も多いです。

――この挑戦は可夢偉さんがいいだしっぺの1人ですが、振り返るとハイブリッドのモータースポーツ参戦も同じような境遇だったと思います。となると、「将来ル・マンで」というような想いはありますか?

 可夢偉:今は「このような可能性がありますよ」という挑戦ですが、水素が普及するようになったらチャンスはあると思います。モータースポーツも何か変わらなければならない時代に来ていると思っていますが、個人的には生き残る道は水素だと思っています。

――その理由はどこにあると思いますか?

 可夢偉:BEVは「お客さんを満足できない」、「ヒトを魅了できない」、「クルマ好きを作れない」と思っています。僕がやってきた以上のモータースポーツになって欲しいですしね。

――豊田社長は「目的はカーボンニュートラル、選択肢は様々」と常に語っています。

 可夢偉:もちろん、BEVがいい国があるのも解ります。でも、水素がいいという国もありますよね。そこに目を向けない現状はアンフェアに見えます。

――やはり、水素エンジンと出会ったことで可夢偉さんのなかでも変わったことがある?

 可夢偉:このクルマに出会って、凄くいいビジョンが見えそうだな……と。

 モータースポーツは世界的に停滞中ですが、新しい技術で競争が生まれ、レースが生まれる。

 これは意味があることだと思っています。僕らのためではなく、次の世代に向けて考えないと。

――今後、水素カローラに乗る機会は?

 可夢偉:あると思いますし、乗ることは難しいことではありません。

 それ以上に『世界にどう伝えていくのか』という部分で、自分のなかで協力したいなと思っています。色々考えていることもあるので、今後お伝えできれば。

※ ※ ※

スーパー耐久参戦前のテストの様子
スーパー耐久参戦前のテストの様子

 肝心のレースはどうだったのでしょうか。

 序盤は順調に周回を重ねていましたが、終盤に佐々木雅弘選手の走行中にパワーダウンということで緊急ピットイン。

 ピットでは緊張が走りましたが、エンジン側のトラブルではなく補機類の電気系トラブルで、部品交換をおこなってピットアウト。

 この辺りはクルマが速くなったことで、今まで問題がなかった部分にストレスが生まれたようです。

 毎戦大きく進化しているからこそですが、逆をいうとカイゼンの余地はまだまだあるということです。

 その後は順調に走行を続け、5時間で90周を走ってゴール(参考:総合1位のアストンマーティンは137周、ST4クラス1位の86は119周、ST5クラス1位のロードスターは113周)。

 レース後、佐藤プレジデントに今回の総括を聞いてみました。

「想定していた出力/タイムだったと思いますが、温度変化はガソリン車よりも感度が高いかもしれませんね。

 GRカンパニーとルーキーレーシングがタッグを組むことによる強みは、『レーシングドライバーがクルマを仕上げるステップ』だと思っています。

 レーシングチームはクルマ全体でまとめていくのに対して、メーカーはやはり機能軸で動きがち。

 クルマ全体を俯瞰して見て機敏に開発という部分では得る物が多いです。

 そして、もうひとつはモータースポーツの環境は『納期』が決まってしまうのでスピード感。我々も次に向けて動き始めます」。

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 後日、モリゾウこと豊田章男社長に会った際に水素エンジンとマシンの進化スピードについて聞くと、このように答えてくれました。

「1戦毎のマシンの進化は、昔のトヨタだったら1年から2年は掛かっていたと思います。そもそも『参戦する?しない?』で何年も検討して『やっぱり出ません』だったでしょうね。できないからやる、それが挑戦です。これが今のトヨタなのです」
 
 次戦は11月13-14日に岡山国際サーキットで開催されます。今シーズンの最終戦となりますが、「ガソリン車を超える」というエンジンの進化はもちろんですが、「つかう」、「つくる」、「はこぶ」に続く水素社会実現のためのテーマは何になるのでしょうか。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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コメント

1件のコメント

  1. 何処で走るの200kmや300kmのレースで爆発の危険が充填は別で何回も電動車の方がマシです。水素は発電が良い燃やせばミライの3分1程度熱に70%消えます。貴重な酸素と共に水蒸気と窒素酸化物NOXが出ます。後席後ろ全部が気体タンク7kg/cm2でマイナス40℃で充填はミライが5.6kgだそうです。水素は使い道が限定され原油はプラスチックやペットボトルや化学繊維や塗料やジェット機やトラックや大型客船の燃料だが燃やせば再生出来ません 事実を絶対言わないCMにミライは無い詐欺です。