日本で新車販売のオンライン化は加速する? ホンダが先手か 米中と異なる日本のディーラー事情とは
日本で主流のディーラー販売はどうなる?
中国やアメリカと比べると、日本の新車販売事業は大きな違いがあります。
まずは、メーカーの直接資本による販売子会社が存在することです。とくに、スバルとマツダは国内販売の半数以上が該当します。
トヨタの場合、そもそも地域の資本家に地場企業としたトヨタ車販売に参画してもらうビジネスモデルであり、メーカーの直接資本は都内中心部を商圏とするトヨタモビリティ東京の1社だけです。
そのほか、三菱はメーカー資本から地場資本への一部転換が進んでいます。
新車の在庫については、一定数をディーラーが持つこともありますが、基本的にはディーラーとユーザーとの売買契約後にメーカーに発注する形をとっています。
こうしたなか、日本で新車ネット直販をおこなうとなると、メーカーの直接資本のディーラーにしろ地場企業にしろ、販売に関する基本契約を大幅に見直す必要があります。
販売現場の人員についても、業務内容を変更することを考えなければならないと思います。
そのうえで、ディーラーの役割についてどう変化させるのかが大きな課題です。
トヨタの国内販売事業を統括する、佐藤康彦本部長は一連の不正車検に関するオンライン記者会見のなかで、トヨタ本社とディーラーとの関係性について「我々(トヨタ本社)は販売も修理も1台もおこなったことがない」とコメント。
現状でのメーカーの役割は製品企画、研究開発、部品購買、車両製造、広域での宣伝広告、そしてディーラーへの卸売りであることを示しています。
このようなメーカーの基本的な役割が、スマホやPCによるオンライン直販によって、大きく変わることになります。
製造と販売が完全に分かれている「製販分離」を基本的な事業構造とする自動車産業がこれからどのように変わっていくのか、各メーカーの今後の動向を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
先行したホンダのディーラー事情を一切述べてないのはなぜ?