日本で新車販売のオンライン化は加速する? ホンダが先手か 米中と異なる日本のディーラー事情とは
ホンダはオンラインで新車の契約がおこなえるサービスを発表しました。ネット販売をおこなう海外メーカーもありますが、日本で主流のディーラー販売はどうなるのでしょうか。
日本でも新車ネット直販が本格的に到来!?
ホンダは2021年10月4日、オンラインで新車のサブスクリプションモデル契約が完結できるシステム「Honda ON(ホンダオン)」を発表しました。
ホンダのみならず、国産車の各メーカーは、オンラインでの新車販売についてはサブスクリプションモデルを主体に新車の新しい売り方を模索しているところです。
海外メーカーでは、メルセデス・ベンツが2019年の時点で、2025年までにグローバルで新車販売の25%をオンライン化すると発表しています。
また、ボルボは2021年3月に「日本国内でもEVシフトを積極的に進め、EVはオンライン販売のみとする」と公表しました。
そのほか、芸能人や富裕層がテスラをスマホで購入したことをSNSで投稿して話題になるなど、日本でも新車のネット直販が本格的に到来する予感がします。
もしそうなると、既存の自動車ディーラーのビジネスはどうなってしまうのでしょうか。
日本のこれからを考える前に、まずは海外での新車ネット通販の現状を見ておきましょう。
もっとも進んでいると考えられるのが、自動車生産数と販売数で世界トップの中国です。
2015年からネット通販大手のアリババがポータルサイト「天猫モール(Tモール)」で
欧米自動車メーカーと専用コーナーを立ち上げたことが大きなキッカケとなりました。
キーポイントは、トレーサビリティ(経過観測)です。
ユーザーがいつ、どのように、どんな情報にアクセスして、その結果としていつ、どのような購買行動に出て、販売後のユーザーの意識変化まで、自動車販売を一気通貫でデータ管理する仕組みをアリババが自動車メーカーから請け負う形です。
そのほか、中国ではテレフォンセンターによる無店舗での新車販売もおこなわれています。
中国での新車販売地域は、上海から広州、香港にかけての沿岸部と、首都北京周辺が主体で、内陸部の中小都市まで新車の販売網が確立できていないケースもあります。
そうしたなかで、日系メーカーではホンダがテレフォンセンター型の新車販売に積極的で、「事実上のネット通販と同様の無店舗販売だ」(ホンダ幹部)といいます。
今後も中国ではデジタル化を国家戦略として推進するなかで、新車販売のオンライン化がさらに加速する可能性があります。
一方で、自動販売台数で世界第2位のアメリカでは、新車ネット通販についてはかなり消極的です。
アメリカの大手自動車販売企業の幹部らにその理由を聞くと「各州の州法などによって自動車ディーラーの権利が補償されているからだ」という答えでした。
アメリカの自動車ディーラーは地場資本が基本であり、イヤーモデルと称される年次モデルを事前に大量入荷して、その在庫をさばく経営スタイルです。
そのなかで、販売でのデジタル化は、ユーザーが自宅近隣ディーラーの在庫をVINナンバー(車体ナンバー)で確認し、そのクルマを決め打ちで試乗して購入を検討するという流れが一般的です。
メーカーとユーザーが直接つながるタイプのオンライン販売についてはテスラが採用しているほか、キャデラックなど高級ブランドではサブスクリプションモデルでのオンライン契約での契約が可能となっています。
先行したホンダのディーラー事情を一切述べてないのはなぜ?