懐かしのブラックベリーが現代のクルマをモバイルウォレット化する! ランボやポルシェもすでに採用済み

画面いっぱいにスクリーンが広がる携帯電話のことを、今ではスマートフォンと呼びますが、ひと昔前はパソコンのようなキーボードの付いた携帯電話のことを主に指していました。そのなかでも最高クラスのセキュリティー性能を備え、人気を博していたのがブラックベリーのスマホでした。数年前からほとんど目にすることがなくなりましたが、意外なところで活躍していました。

ブラックベリーは死んだのか?

 まだiPhoneやアンドロイドスマホがなかった頃、携帯電話端末から“Cメール”ではなく、Eメールの送受信やウェブ閲覧ができた「ブラックベリー」。東京都内でブラックベリーの携帯電話を持っている人は、ほぼ十中八九、外資系金融機関勤めだった……、とはいいすぎだろうか?

 そんなブラックベリーもいつしか、iPhoneやアンドロイドスマホにシェアを奪われ、ブラックベリーOSもやがてアンドロイドOSに変わり、やがて携帯電話端末部門はライセンス提供ビジネスとなった……。

 表舞台から姿を消したかのように思われるが、実はブラックベリーは絶好調。独自のネットワークサービスだったり、企業向けシステムソリューションやセキュリティだったり、車載システムなどを提供している。

 そう、実はクルマには、ブラックベリーが提供するシステムソリューションが採用されている、ということ。現在のクルマはあらゆるシステムがECU(電子制御ユニット)によって制御されているが、コネクテッド化やADAS・自動運転化が進行するにつれ、必要とするECUの数も膨大になる。そこで登場するのがブラックベリーのOSで、各種制御ソフトウェアを統括する。

 ブラックベリーのOSを搭載したクルマは2021年の2月時点で、なんと1億7500万台を突破したというから、いかに自動車市場に浸透しているかがうかがえる。

現代の多くのクルマが、インフォテイメントシステムだけでなく、アクセルやブレーキ、ステアリングまで電子制御されている(C)BlackBerry
現代の多くのクルマが、インフォテイメントシステムだけでなく、アクセルやブレーキ、ステアリングまで電子制御されている(C)BlackBerry

●クルマのサブスク化が加速する!?

 そんなブラックベリーがアメリカ・カリフォルニア州の「Car IQ社」と業務提携し、車両からの“支払い”を可能にさせるという。例えば燃料代だったり、電気自動車なら充電代だったり、高速道路の通行料だったり、駐車料金や整備代だったり、とその用途は多岐にわたる。

 日本では「既存の支払い手段で十分満足している」という声が聞こえそうだ。しかし、彼らが本当の狙っているのはクルマメーカーがこれから力を入れていく、サブスクリプション・サービスに向けた動きであることは間違いないだろう。

 これまでクルマの“機能”は新車購入時に装備されているか否かだった。例えばシートヒーターだったり、カーナビだったり、クルーズコントロールだったりと、列挙すればイメージしやすいだろうか? 最近、これら機能をクルマメーカーはサブスクリプション化しようとしているのだ。

 つい先日、「Volkswagen Payments S.A社」の株式75%を、JPモルガンが取得に向けて動いていると報じられた。そして来年の第一四半期までには、株式取得を完了させるといわれている。つまりは、それだけ決済需要が高まることをJPモルガンは見越しているのだ。

 クルマにおける機能のサブスクリプションは少々納得がいかないが、やがて一般化してしまうのだろう。そして、クルマでの移動中に聞く音楽のストリーミング、自動運転が本格化したら動画のダウンロード、ゲームやネットショッピングなどで車内決済が欠かせなくなるのは間違いないだろう。

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