スズキ「ソリオ」にマイルドHV 見えてきた次のステージ

蓄積される技術、近く“次のステージ”へ?

 ではなぜ「ソリオ」は軽自動車と同じ「S-エネチャージ」ではなく、「マイルドハイブリッド」を名乗ったのでしょうか。

 これは販売戦略上の理由だそうで、エネルギー回生システムの「エネチャージ」を進化させハイブリッド機能を備えた際、軽自動車では「エネチャージ」の発展版という意味を込め、「S-エネチャージ」という名称を選んだといいます。しかし、ハイブリッドが既に定着しているコンパクトカーでは、分かりやすく「ハイブリット」とされました。

「ソリオ」への「マイルドハイブリッド」搭載の狙いは、走行性能の向上とクラストップの燃費効率達成にあります。軽自動車と同様に実用性が重視されるコンパクトカーで、経済性の高さは大きな武器。また、いまやコンパクトカーはファーストカー需要も極めて高いため、走りの良さも重要なポイントになります。新型「ソリオ」では、そんなファーストカー需要を意識した、商品力強化が図られているのです。

 現在、スズキはハイブリッド車の開発も進めており、早ければ年内に新たなハイブリッドモデルの投入が噂されています。開発担当者によれば、「エネチャージ」や「S-エネチャージ」の開発により、ハイブリッドカーで重要なリチウムイオンバッテリーに関する技術が、かなり高まってきているといいます。時期は明言されませんでしたが近い将来、国内にスズキのハイブリッドカーが登場するのは間違いなさそうです。

 スズキの普通乗用車は、年間販売台数が約9万台。その90%を「スイフト」と「ソリオ」が占めています。現在、10万台達成を目標に掲げるスズキにとって初となるハイブリッド車への期待は、かなり大きいといえるでしょう。

 コンパクトカークラスでもハイブリッドが当たり前になったいま、スズキの「マイルドハイブリッド」がどれだけ顧客の心を掴むことができるか、注目です。

【了】
提供:乗りものニュース

Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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