「FF」と「FR」の違いや「4WD」のメリットって何? 運転しやすい駆動方式はどれ?
初心者にも扱いやすいのはFF ハイパワー車はFRが最適
大きく5つに分類される駆動方式のうち、あまり一般的ではないMRやRRはともかく、気になるのはFF、FR、4WDでどれが運転しやすいのかということでしょう。
それぞれの特性や乗り方のコツはあるのでしょうか。さまざまな駆動方式のクルマを数多く取り扱ってきた中古車販売店のオーナー、N氏に聞いてみました。
「FFは前輪駆動ゆえに前から引っ張られる感覚があるフィーリングです。上り坂でも重量物(エンジン)が前にあるため駆動輪(前輪)のトラクションもかかりやすいといえます。
また下り坂でも荷重が前輪にかかるためトラクションも十分かかりますが、その半面フロントがヘビーになるため、オーバースピードでは曲がりにくくなることもあります。
それでも直進安定性に優れることから、安全志向なファミリー向けのクルマや初心者にも乗りやすい軽自動車やコンパクトカーに適しています」
昔からFFは誰でも運転がしやすいといわれており、どんな道でも駆動輪とエンジンが近く、トラクションがしっかりかかりやすいのは、運転に不慣れな人でも扱いやすいといえます。
「FFが進化する前に主流だったのがFRです。前輪が操舵、後輪が駆動と仕事を分担しており、無理が少ない自然なフィーリングが特徴です。
重量物が前後に分散しているので重量バランスに優れており、大排気量や多気筒エンジンの搭載も容易です。スムーズな操作性が特徴で、コーナリングなどもFFより旋回性能は高いといわれています」(中古車店オーナー N氏)
「ここ数年でスポーツカーでの採用が増えている4WDは、その名の通り4輪で駆動力を分散させることで走行中の安定性を高めたものです。
とくに雪道などの滑りやすい路面で駆動力を確保しやすく、現在では電子制御によって前後輪のトルク配分を変化させるなど進化しています。
ただし、その分重量が増えるのと燃費性能がFFやFRと比べて不利になります。運転したフィーリングはFFベース、FRベースによっても違いますが、全体としてはしっかり路面を捕まえてパワーを伝達してくれる半面、小回りは効きにくいといわれています。
それでも4WDならではの高速安定性は割高な価格も納得できるものです」(中古車店オーナー N氏)
ちなみに、雪道など滑りやすい路面の場合は、4WD→FF→FRの順で運転しやすいといいます。
「ひとつ注意したいのが、4WDでも過信は禁物だということ。悪路走破性もFFやFRと比べれば高いのですが、だからといってどんなオフロードも大丈夫というわけではありません。
無理な運転ではコーナーで曲がりきれなかったり、高速走行でも不安定になることもあります。
また古い輸入車などは4WDのパーツ自体が欠品になりやすいのでその分メンテにも時間や費用がかかることがあります」(中古車店オーナー N氏)
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FF車が圧倒的に多く、最近ではレクサス「ES」など高級車のジャンルでもFFの採用が増えてきました。
一方で4WDは雪道にも対応しやすいのですが、その前に雪道に適したスタッドレスなどタイヤの性能に依存するところが大きいことは覚えておきたいところです。
仮にランエボなどの横置きエンジンの4駆で前輪を駆動しないFRならろくな車にならないでしょう。
FFでもインプレッサのFFとカローラのFFでは調味料が違います。