トヨタの燃費値はなぜ他社を圧倒する? 類似ハイブリッド車でカタログ燃費に差がある訳

カタログ燃費重視の時代は終わった?

 では、カタログ燃費をより良いものにするべく、他社もトヨタ式のHVを導入すれば良いのではと考えるかもしれません。

 実際、マツダはトヨタと協業し、トヨタのハイブリッドシステムを搭載したモデルを2022年までに海外の主要市場で発売すると発表しているように、そのような選択肢もあるかもしれません。

 ただ、ホンダや日産がトヨタ式のHVを導入しなかった背景には、技術開発上の問題や、ビジネス上の戦略などはもちろんあるものの、そもそもカタログ燃費というもの自体が遅かれ早かれ意味をなさなくなるという判断も合ったのではないかと筆者は考えます。

 EVや燃料電池車(FCV)が将来的にシェアを高めていくと、かつてのように0.1km/Lレベルで過剰ともいえる燃費戦争をしていたことが無意味と思えるほど、ガソリンを消費しなくなるからです。

 そもそもガソリンを消費しないのであれば、燃費という概念すら必要なくなるからです(あらたに「電費」という概念が重要視されるようになるのかもしれませんが)。

 現時点では、実際にEVやFCVを購入するユーザーはまだまだ少数派ですが、燃費(=ガソリンを消費すること)に抵抗がある人には、そもそもガソリンを消費しないクルマを選ぶという選択肢もできつつあるのは事実です。

 そうなると、HVに求められるものは「とにかく燃費がいいこと」ではなく、純粋にクルマとしての魅力、例えばデザインや使い勝手、走りといった部分が重要となります。

 e-POWERを初めて搭載した日産の先代「ノート」が、2017年から2019年にかけて、3年連続でコンパクトカー販売台数1位に輝いたのには、カタログ燃費の良さだけでなく、EVのようなスムーズな走りや「ワンペダル」の快適性などといった、カタログスペックからは測れない部分が評価されたからだといわれています。

EVのような走行フィーリングを特徴とする日産「ノート」
EVのような走行フィーリングを特徴とする日産「ノート」

 また、高速走行に弱いというEVの特性を打ち消すべく、高速走行時はガソリンエンジン車とし走行するという仕組みを備えたホンダのe:HEVは、ガソリンエンジンのメリットとモーターのメリットを最大限活用したシステムとして、まだまだ可能性を秘めています。

 このように、ひとくちにHVといっても、その中身は各社でさまざまです。

 カタログ燃費に関しては、トヨタのTHS-llが現在では優位なようですが、カタログ燃費は参考にはなっても、クルマの評価を決定づけるものではありません。

 また、走行の仕方などの諸条件によって、実際の燃費は大きく変わります。

 各社のハイブリッドシステムの特徴をよく理解し、自身に適したものを選ぶことが重要といえます。

※ ※ ※

 各社のハイブリッドシステムはさまざまですが、いずれにせよ、HVやPHEV、EVやFCVといった電動車は、今後より大きなトレンドになることは間違いありません。

 将来の技術は、既存の技術の延長線上に成り立っていることは間違いなく、いま現在販売されている各社のHVが、今後どのように進化していくのか、ぜひ注目してみてください。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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