ホンダはフェラーリ・ランボルギーニを超えられた? 2代目「NSX」に足りなかった物とは
2代目「NSX」デザイン面ではどうだった? 歴史を継承できたのか?
ところで、デザインはどうでしょう。
2代目NSXのデザインも、あくまで主観でしかありませんが単体でみると不足はないと思います。ちょっとガンダムテイストですが、これはこれで悪くないでしょう。
しかし、そこに初代NSXの魂を感じることはできるでしょうか。
NSXのメインマーケットはアメリカですが、アメリカでのスーパーカーやスポーツカーは“伝説”や“魂の継承”と“ノスタルジィ”が重要です。
とくに昨今は、デザインに過去のモデルへのリスペクトが求められるのです。
フォード「マスタング」しかり、シボレー「カマロ」や「コルベット」や先日発表された日産「フェアレディZ」もそうで、見るからに過去のDNAが漲っているのは気のせいではありません。あえてそうしているのです。これはファンやユーザーが喜ぶからです。
2代目NSXも、デザインにもっと初代のリスペクトが感じられたら、愛とロマンを感じられる人が増えたことでしょう。
なかには「フェラーリもランボルギーニも新型が出るたびにデザインはまったく違う」という人もいるかもしれません。
しかしそれらは世代交代とともに「車名」が変わり、まったく別のクルマになるのですが、NSXはそうではありません。
また欧州のスーパーカーでも、先日ランボルギーニが発表した新生「カウンタック」をみれば歴史を大切にすることの重要性がわかります。
過去のモデルが復活する場合は、見るからにそのデザインを纏うことがファンを喜ばせるのです。

また、スーパーカーに一石を投じる、環境を考えたハイブリッドシステム。そして異次元の旋回性能を生むSH-AWD。
2代目NSXはホンダの先進技術を集結したスーパーカーであり、その走りとドライバビリティが素晴らしいことは疑いようがありません。クルマとしては盛大な賛辞を送りたいと思います。
しかし、それは本当に消費者が望むパワートレインやデザイン、そして立ち位置だったのでしょうか。
あえていうのであれば、スーパーカーオーナーになる人の気持ちを理解することができなかった、そんな商品企画のボタンの掛け違いが、2代目NSXの運命を決めてしまったのかもしれません。
繰り返しますが、技術水準と走り、そしてドライバビリティは素晴らしいものでした。
そして、その後に続くハイブリッドスーパーカーへの道を開くという役割も、しっかり果たせたと考えられます。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。


































