爆弾から身を守るメルセデス「Sクラス」誕生 およそ5900万円で買う安全とは

クルマに安全性能が求められる時代ですが、要人やVIPが使うクルマには、別の意味での安全性能が求められます。ライフルでの狙撃や爆弾攻撃などから身を守ってくれる「Sクラス」を紹介します。

見た目はフツーのメルセデス「Sクラス」の装甲車

 メルセデス・ベンツから、2022年モデルとして新型ガードサルーンモデルの「S680 ガード 4MATIC」が発表された。このニューモデルは、「ガード=GUARD」というネーミングからも想像できるように、要人やVIPを安全に目的地へと移動させるための、いわば装甲車だ。

 防弾車両の規格によると、このモデルは最高保護クラスであるVR10の条件と、ドイツの連邦刑事庁(BKA)の条件をいずれも満たしているという。

自動トリガー機能や吸気システムを備えた消火システム、警察に緊急時であることを知らせるためのサイレンや点滅灯なども装備される
自動トリガー機能や吸気システムを備えた消火システム、警察に緊急時であることを知らせるためのサイレンや点滅灯なども装備される

●爆弾攻撃にも耐えうる安全性

 S680 ガード 4MATICの最大の特徴は、ボディの保護材料がボディシェル構造の内側に組み合わされるintegrated protection system(iSS)を採用していることだろう。

 つまりボディパネルは、もちろんそれだけでも保護材料として機能するものの、衝撃のほとんどはその内側にあるiSSによって吸収される仕組みになっているというわけだ。外観からそれがガードであることが分からないようにすることも、要人を護るには大切なのだ。

 同様に外観から見ることのできない装甲要素には次のようなものもある。ウインドウはVR10の安全基準を満たす、通常の透明なガラスと強化ガラスをサンドイッチ式に組み合わせたもので、さらにその内面は視認性確保のためポリカーボネイトでコーティングされている。

 iSSのコンセプトはインテリアにも応用されており、同時にファーストクラスリアシートやリアエアバッグななど、ガード用にパーソナライズされたオプション装備が80以上も装備されているという。

 このS680 ガード 4MATICがVR10の規格をクリアするためのテストは、ドイツのバーデン ヴュルテンベルク州にある専用の施設でおこなわれた。ここではライフルからの射撃や爆弾を使用した攻撃テストがおこなわれ、テスト車は屋根・フロア・側面のいずれにおいてもトップスコアを記録した最初のモデルとなった。ちなみに車内に搭載されたダミー人形にも一切の損傷はなかったという。

 搭載されるエンジンは、6リッターV型12気筒ツインターボで、最高出力612ps、最大トルク830Nmを誇る。オールアルミニウムのクランクケースや、ワンピースのタイミングチェーンドライブシステムなど、こちらも安全性を考慮したリニューアルが施されている。

 タイヤはミシュラン製のPAXランフラットタイヤで、ダメージを受けた場合でも、最大30kmの距離を移動できるという。

 S680 ガード 4MATICには、ほかにも標準的なSクラスには装備されない特別な仕組みが備わっている。ドアは新しいアクチュエーターを備えたもので開閉時の操作力は低く抑えられており、ウインドウは車載電源が切れた場合でも機能できるよう、油圧式のウインドウリフターが備えられている。

 さらには、自動トリガー機能や吸気システムを備えた消火システム、警察に緊急時であることを知らせるためのサイレンや点滅灯なども装備される。

 注目の価格は、もっともスタンダードな仕様で、45万7100ユーロ(邦貨換算約5900万円)。安全はやはりお金で買わなければいけないらしい。

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