大谷翔平も乗るテスラ車! なぜ150万円の値下げが出来た? テスラ「モデル3」大幅値下げの理由とは
テスラは大衆車となっていくのか?
この10年間でEVの選択肢はかなり増えました。とくに近年では、欧州自動車メーカーの急進的ともいえるEVシフトの影響もあり、輸入車のEVラインナップが増えていますた。
ただ、アウディ「e-tron」やポルシェ「タイカン」といった1000万円を超えるようなEVは、一部の人をのぞいて簡単に手が出せるクルマではありません。
多くの人にとって手の届きやすいクルマとなるには、補助金や各種減税、ランニングコストなどを考慮したとしても、せめて車両価格が300万円台となる必要があります。
現在、日本市場において車両本体価格が300万円台のEVは少数ですが、価格だけ安ければ良いというものではありません。
EVの心臓部であるバッテリーの容量を引き下げれば、価格低減はそれほど難しいことではありませんが、航続距離が実用に向かなければ意味はありません。
ただ、EVの価格については、遅かれ早かれ、今後引き下げられていくものと考えられます。テスラがおこなったように、EVには生産拠点の見直しや部品調達の見直しなどまだまだコスト削減の余地が多くあります。
また、今後少なからずEVの需要が増してくれば、量産効果によって個々の部品、ひいては個々のクルマの生産コストは現在よりも大きく下がることでしょう。EVはまだまだ発展途上だからこそ、さまざまな改善の余地があるといえます。
ただ、価格が“こなれて”きたとしても、テスラが大衆車化するとは考えにくいのも事実です。
そもそも、大衆車の条件は価格だけではありません。多くの人々の日常の足となるためには、必要なときにすぐに手に入り、困ったときにはすぐに修理やメンテナンスができることも重要です。
その視点でいえば、納期が1年以上かかることがもはや当たり前となっているテスラは、たとえ低価格化したとしても大衆車とはいえません。
同様に、ディーラーも少なく、修理のできる工場なども限定されているテスラは、大衆車の条件を満たしてはいないでしょう。
もちろん、「より低価格の電気自動車とエネルギー関連製品を通して、世界の持続可能エネルギーへのシフトを加速すること」をミッションとしているテスラにとって、納期の短縮化とディーラーネットワークの強化は喫緊の課題といえます。

一方で、現在の軽自動車、あるいはコンパクトカーのような立ち位置をテスラが狙っていると考えるのは間違いでしょう。
低価格帯のEVは、中国の民族系自動車メーカーが得意とするところであり、中国国内ではすでにかなりの数の国産コンパクトEVがすでに走っています。
1000万円オーバーの高級EVをメインとしてきたテスラにとって、そうした低価格EVに対抗することはブランド価値の低下をまねく恐れがあります。
そのため、現実的には、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったプレミアムブランドのような立ち位置として、ラインナップを広げていくものと考えられます。
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自動車業界の常識を幾度となく打ち破ってきたテスラ。今回も、異例の値下げでEVをより手の届きやすい存在へと変えました。
しかし、各国自動車メーカーのEVシフトが進むなかで、先行者としてリードし続けられるのか、これからも目が離せません。
*テスラ本命印度