車のエアコンで常に「内気循環」はメリットなし!? 「外気導入」との正しい使い分け術

どんなときに内気循環と外気導入を使い分ける?

 JAFがおこなった実験からもわかるように、内気循環だけでは車内の換気がうまくいかず、CO2濃度の上昇で息苦しさや眠気が出てしまうようです。

 しかし、内気循環をしないほうが良いのかというとそういうわけではなく、シーンに応じて任意で切り替えることでより快適な車内空間が作れるとされています。

内気と外気を適切なタイミングで切り替えるのが良い
内気と外気を適切なタイミングで切り替えるのが良い

 では、どんな場面で内気循環と外気導入を使い分ければいいのでしょうか。そこで20年以上も修理・整備に携わってきた整備士Tさんに聞いてみました。

「最近のカーエアコンはオート機能が進化していますが、自分が快適だと思う車内空間になるように手動で操作したほうがいいと思います。

 内気循環では、一般的に冷暖房が素早く効いたり、外気のニオイや悪い空気を取り込みにくくするなどのメリットがあり、また、冷暖房が効きやすいので燃費が若干改善する傾向があります。

 一方で、CO2濃度が上がってボーっとしてしまうなど注意力が散漫になりがちなので、長距離や長時間の移動には向かないでしょう。

 外気導入は、車内の酸素濃度はそのままでCO2濃度も上がらないので、換気の手間がないのがメリットです。

 また内気循環では車外との温度差や湿度差によって窓が曇ってしまうこともありますが、外気導入モードに切り替えることで曇りも取れやすくなります」

 内気循環と外気導入を切り替えるときには若干の注意が必要だとT氏はいいます。

「内気循環と外気導入は内蔵されるフラップによって切り替え、これにより風の通り道が替わるわけですが、フラップが樹脂製のため、できる限り風量は弱いほうが故障リスクを減らせます。

 また、車内温度より外気温が高い場合は、エアコン始動時は内気循環にしておいたほうが負荷を減らせますが、できる限り故障リスクを減らす使い方とすれば外気導入のほうがお勧めです。

 内気循環で急激に車内を冷やしたいときなどはいいのですが、そうなるとエバポレーターで発生した結露をうまく排出できずにそのまま水分が残り、汚れやカビなどの菌が付着して増殖してしまうことがあります。

 車内だけでなく機関内の換気を兼ねた外気導入のほうが、システム全体を上手に循環させ、故障リスクやカビなどの増殖も低減できると思います」

※ ※ ※

 車内を素早く冷やしたいときや外気のニオイ・汚れが気になるときなどは内気循環を使用し、通常時は外気導入にしておくことで頭痛や眠気などが起きない状態にすることが大切です。

 適切なタイミングで内気循環と外気導入を切り替えることが、快適な車内空間作りにつながるということです。

【画像】内気循環と外気導入はどう使い分ける? 切り替えるべき状況をチェック(14枚)

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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