車のエアコンで常に「内気循環」はメリットなし!? 「外気導入」との正しい使い分け術
家庭用エアコンとは違い、カーエアコンは「内気循環」と「外気導入」があります。このふたつはどのように使い分けたら良いのでしょうか。
ずっと内気循環はデメリットがある!?
高温多湿な夏に欠かせないクルマの装備であるカーエアコン。基本的な仕組みは家庭用エアコンと同じですが、クルマ独自の機構ともいえるのが「内気循環」と「外気導入」のモードを切り替えられることです。

外からの花粉やホコリ、ニオイなどをブロックするために常に内気循環モードにしている人もいると思いますが、外気導入を使わずに内気循環ばかりにしているのはお勧めできないようなのです。
とくに夏は外の熱気を取り込むと冷房が効きにくいという考えも間違いではないのですが、内気循環しか使わないことで生じるデメリットもあるのです。
自動車メーカーとしても一般的には外気導入を推奨していますが、それは一体なぜなのでしょうか。
日本自動車連盟(JAF)は、2019年に内気循環と外気導入による車内環境の変化についての実験をおこなっています。
テスト方法は、同じ車種で内気循環と外気導入に分けて60分走行したあとの車内環境を比べるというもの。
高速道路、郊外・山道、市街地というみっつのシチュエーションで60分走行したあとの車内の酸素濃度とCO2(二酸化炭素)濃度を比較しています。
まず、高速道路の場合、外気導入で走行するとトンネル内などで一時的にCO2濃度が上がることはありましたが、基本的には走り出しと同じ1000ppm程度と変化はありません。一方で内気循環の場合は、最大で4520ppmにまで上昇しました。
郊外・山道でも同じような結果ですが、外気導入は走り出しの1000ppm以下とほぼ同じ数値なのに対し、内気循環は最大で4730ppmを記録しています。
さらに差がついたのが市街地です。外気導入は1000ppm前後と安定した数値が続く一方で、内気循環は最大で6770ppmと6.7倍以上の数値となりました。
ちなみに酸素濃度は、外気導入はずっと20%前後で推移するのに対し、内気循環の場合は約1%のダウン。気になる花粉の付着は内気循環と外気導入ともにわずかな量しか検出されなかったのだそうです。
車外のホコリや花粉を取り込みたくないと思って内気循環にしていても、実際には花粉や汚れの量は外気導入と大差がないということになります。
むしろ、CO2濃度の上昇による「疲労感や注意力低下」「眠気や頭痛」を引き起こす要因を増やしているといえます。
医療系の研究報告によると、車内のCO2濃度が3000ppmを超えると眠気や疲労感などの症状が出てくるのだそうです。















