いま密かなブーム進行中? ちょっとクラシックなステーションワゴン3選
国内市場で1990年代の初頭にはブームとなったステーションワゴンですが、近年はニーズの変化から欧州車を除くとラインナップは極端に減少してしまいました。一方でネオクラシックなモデルは、デザインの魅力からか一定の人気があり、近年、ちょっとしたブームになっています。そこで、人気があるクラシカルなステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
近年、密かに人気となっているちょっとクラシカルなステーションワゴンを振り返る
1989年に、スバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」が誕生。高性能なエンジンとフルタイム4WDを組み合わせ、従来のライトバンベースのモデルとは一線を画するスタイリッシュなデザインも相まって、たちまちヒット車となりました。
このレガシィ ツーリングワゴンのヒットから他メーカーも次々とステーションワゴンを発売し、当時のアウトドアスポーツ/レジャー人気も追い風となって、ちょっとしたステーションワゴンブームへと移行。
しかし、ブームは長く続かず、沈静化するとステーションワゴンのラインナップも減少し、とくに2000年代なると急激に失われ、現在に至ります。
一方で、近年静かなブームとなっているのがネオクラシックなステーションワゴンで、今のクルマにはない独特なデザインが魅力となっているようで、専門店も存在するほどです。
そこで、現在人気があるクラシカルなステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「Y30型 セドリック/グロリア ワゴン」
かつて、日産のアッパーミドルクラスセダンで主力車種だったのが「セドリック/グロリア」です。
また、昭和の時代には1車種で複数のボディラインナップを揃えるのが一般的だったことから、両車にも4ドアセダンだけでなく2ドアクーペ、ステーションワゴン、ライトバンがありました。
そして、シリーズ最後のステーションワゴンだったのが、1983年にデビューした「Y30型」です。
外観は直線基調の風格のあるフォルムで、まさに王道のステーションワゴン/バンといったイメージです。また、フロンフェイスはワゴンと同系統で、ワゴンは四角い異形ヘッドライト、バンには廉価モデルと同じく丸目4灯のヘッドライトを採用。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1690mm×全高1500mmと5ナンバーサイズですが、スクエアなフォルムによって数字以上に大きく見えました。
内装もセダンに準じたデザインで、ステーションワゴンは3列シートの7人乗りが標準となっており、後期モデルはフロントベンチシートの8人乗りを設定。
しかし、3列目シートは荷室に折りたたんで格納され、さらに乗車時は後ろ向きに座るレイアウトだったため、あくまでも緊急用でした。
エンジンは2.8リッターディーゼルもしくは2リッターV型6気筒を搭載し、駆動方式はFRの2WDのみです。
セドリック/グロリア ワゴン(バン)は一定のニーズがあったことから、1999年まで継続して販売されたロングセラーでした。
外観はアメリカの旧車風な雰囲気もあって今では若い世代からも支持されており、とくに後期型のベンチシート+コラムシフトは「ベンコラ」の愛称で人気です。
●メルセデス・ベンツ「S123型 ステーションワゴン」
メルセデス・ベンツは、2021年6月に新型「Cクラス セダン/ステーションワゴン」を発表しました。日本でも売れ筋のモデルとして、大いに注目されています。
同社の現行ラインナップで、ステーションワゴンというとこのCクラスと「Eクラス」、さらに、よりスタイリッシュなフォルムの「CLA シューティングブレーク」の3モデルに大別。
このステーションワゴン群の元祖というべきモデルが1976年に誕生した「W123型」です。
W123型は現在のEクラスの前身にあたるモデルで、ボディはセダンとクーペ、そして同社初のステーションワゴンがラインナップされました。なお、ステーションワゴンの型式は「S123型」です。
外観はセダンとフロントセクションからキャビンは共通で、そのままルーフを伸ばしてトランクまわりをつくり替えたイメージです。
また、フロントフェイスは初代「Sクラス」である「W116型」を彷彿とさせるデザインで、メッキが施された大型で格子状のフロントグリルに、同じくスチール製メッキバンパーを採用。
内装では上位グレードにウッドパネルをふんだんに使うなど、高級感があります。
日本で正規販売されたステーションワゴンは、3リッター直列5気筒ターボディーゼルエンジンを搭載した「300TD」のみです。
W123型、S123型は1985年まで販売されましたが、近年クラシカルな内外装が注目され、今では専門店も複数存在します。
ただし、ディーゼル車はNOx・PM法から登録可能な地域が限られ、ガソリンエンジンへ換装しているケースもあります。
●ボルボ「240エステート」
ボルボのモデルというと、現在はSUVとステーションワゴンが主力ですが、1990年代には「740/850/940エステート」などの大型ステーションワゴンが日本でも人気でした。
これらのモデルのさらに前の世代で、今も高い人気を誇っているのが「240エステート」です。
かつて、ボルボがつくるクルマは安全性が高く、デザインも無骨で質実剛健なイメージがありましたが、まさに240エステートが該当。
240シリーズは1974年に誕生し、ボディタイプは2ドアセダン、4ドアセダン、そしてステーションワゴンをラインナップしていました。
外観では、当初丸目2灯のフロントフェイスでデビューし、後に角目2灯(仕向地によって異なる)がスタンダードとなり、各ボディタイプで共通化。
さらに、大型のバンパーと切り立った直線基調のボディパネルによって、見るからに頑丈そうな印象です。
エンジンは2リッター直列4気筒OHVと、2.1リッター直列4気筒OHCが設定され、1981年には2.1リッターエンジンにターボチャージャーが装着され、最高出力155馬力を発揮。
2ドアセダンはツーリングカーレースでも活躍したことから「空飛ぶレンガ」の異名で呼ばれて広く知られるようになりました。
240シリーズは1993年まで19年間生産されたロングセラーでした。現在もエステートがネオクラシック・ボルボのなかでも高い人気を誇っています。
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最後に紹介した240エステートは、芸能人から人気になったことやCMやドラマに登場したことも、再評価された理由といえます。
実際に広い荷室から使い勝手も良くボディサイズも手頃で、さらに無骨なフォルムもデザインを重視するユーザーから高く評価されました。
ただし、今回紹介した3台は立派な旧車ですから自動車税、重量税等の増額を覚悟する必要があり、故障も避けられないので、やはり専門店を活用して吟味した方が良さそうです。
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