なぜ中古車なのに新車より高価になる? 市場価値が年々高まるクルマの共通点とは
投資目的での中古車購入が増えている理由とは
ジムニーやS660は、新車価格が中古車価格を上回っている数少ない例のひとつですが、それでも新車価格の1割から2割程度の価格です。
しかし、海外に目を向ければ、新車価格の数倍以上へと中古車価格が高騰し、さらには年々その市場価値が高まっている例も見られます。
例えば、ポルシェなどはその最たる例です。いわゆる「ナナサンカレラ」と呼ばれる、1973年式の「911RS 2.7」などは、20年ほど前は1600万円程度だったものが、現在8000万円、ものによっては1億円を超えるものもあるようです。
これは極端な例ですが、ほかにも1990年代の911シリーズも軒並み中古車価格が上昇し、状態によっては新車価格を上回るものもではじめています。
国産車では、日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ」などの状態の良い個体が、1000万円を超える価格で取引される例もあるようです。
また、国産車でもっとも市場価値が高いといわれるトヨタ「2000GT」は、1億円を超える価格で取引された例があるといわれています。
これらを「中古車」とひとくくりにしてしまうのは、あまりに乱暴なようにも思えますが、いったいなぜこれほど価格が高騰しているのでしょうか。
簡単にいえば、そのクルマを欲しがる人が増えているために価格が高騰しているということになりますが、そうした人々全員が「クルマ好き」のというわけでもないようです。
市場価格が急激に高騰しているクルマを購入している人には、少なからず投資を目的としている人が存在するといわれています。
円にしろドルにしろ、現金の価値は為替相場によって変化します。また、かつて100円でラーメンが食べられた時代があったけれどもいまはそうでないように、基本的には物価は上昇を続け、相対的に現金の価値が下がるものといわれています。
つまり、資産は現金で持つよりも、価値が変わらない、あるいは今後価値が上昇することが予想されるものに変えることで、資産全体の価値を守るという考え方が出てきます。
成長企業の株を購入したり、ゴールドを購入したりといった方法があるなかで、クラシックカーへの投資も選択肢のひとつとして考えられるようになりました。
クルマは、いうまでもなく高度な工業製品です。そのため、個人レベルで製造することはほとんど不可能であり、メーカーが生産を終了した時点で、そのクルマの供給も終わり、希少性が出ることになります。
つまり、今後新品は登場しない以上、保管をし続ければその価値はどんどん上昇していくことが期待されます。
一方で、美術品のように「一品物」ということはほとんどないため、予算さえあれば比較的購入しやすいという特徴もあります。加えて、美術品のように保管が著しく難しいということもありません。メンテナンスをおこなう業者も比較的多く存在するのも魅力です。
このように、資産価値の上昇が見込め、なおかつ比較的購入が容易で、なおかつ保存・管理がしやすいということから、一部のクルマの中古車価格が高騰していると考えられます。
では、いま新車で販売されているクルマを、長期間厳重に保管していれば、いずれは新車価格を超える値段で取引される可能性もあるのでしょうか。
理論上は、どんなクルマでもいずれは資産価値があがることでしょう。ただし、市場から新車が消え、そして程度の良い中古車も消え、なおかつそのクルマを欲しがる人がいることが前提です。
ただし、いわゆる「ふつうのクルマ」がその域に達するのは、何百年という果てしない時を経る必要があるかもしれません。
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投資目的の購入が増えることは、自動車ファンからすれば賛否両論があることかもしれません。
実際に、現在価格が高騰し、もはや手が届かない存在となっているクルマのなかには、「あのときなら手を伸ばせば買えた」という例も少なくありません。
このように考えると、本当に欲しい時に購入するのが一番なのかもしれません。
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