人気SUVランドローバー「ディフェンダー」は「90」と「110」のどちらが買いか

大人気のランドローバー「ディフェンダー」の2台を武田公実が乗り比べ。「110」の大本命である6気筒ターボディーゼルMHEVと、直列4気筒ガソリンターボ搭載のショートボディである「90」、どちらに軍配が上がるだろうか。

「110」の本命である6気筒ターボディーゼルMHEVは本当に本命か?

 ランドローバー「ディフェンダー」は、現在の日本国内において、もっとも注目されている輸入車のひとつと見て間違いあるまい。

 2020年リリースされた、4気筒ガソリン版の「110」系については、クロスカントリーカーの本分であるオフロードでの卓越した走破性能に加えて、現代における都市生活者の使用状況に近いカタチ、つまりアスファルト舗装された一般公道や高速道路においても素晴らしいパフォーマンスを発揮することは、すでにVAGUEでも伝えられているとおりである。

 そしてこのほど、ファンが待ち望んでいたふたつのバージョン。110系のターボディーゼル版「D300」と、3ドアショートボディ「90」系が日本国内でもデリバリー開始となったことから、あらためてテストドライブを敢行することになった。

独特の乗りやすさやドライブフィールを、今なお明確に体現している「ディフェンダー90」
独特の乗りやすさやドライブフィールを、今なお明確に体現している「ディフェンダー90」

●6気筒ターボディーゼル+48Vマイルドハイブリッドがもたらす濃密な高級感

 東京都心から千葉県富津市を訪ねた、この日のテストドライブ。まず往路でステアリングを委ねられたのは、正規輸入が始まった当初から日本に導入されていたロングボディ版に、新たにターボディーゼルエンジンを組み合わせた「ディフェンダー110 ディーゼルMHEV D300」、新型ディフェンダーでは「本命」ともいわれているバージョンである。

 注目のパワーユニットは、すでに「レンジローバー スポーツ」や「ディスカバリー」でも設定されている、3リッター直列6気筒ディーゼルターボに48Vのベルト駆動型スタータージェネレーターを組み合わせたものだ。

 最高出力はガソリン版「P300」と同じく300psながら、最大トルクは250Nmアップに相当する650Nm。この極太トルクを、1500rpmというアイドリング+αの回転域からモリモリと湧き出してくるのだから、速くない理由があるまい。

 とくに発進時などでは、スロットルをジワリと踏んだところから18kw(約24.5ps)の電動モーターがアシストするのか、今回試乗した豪華版「X」仕様では2420kgに達する車重をまるで感じさせることなく、グイグイとスピードを乗せてゆく。

 しかしD300エンジンの最大の魅力は、数字には表れないフィールにこそある。ターボディーゼルエンジンのトルク感は、同じ出力を発生する4気筒ガソリンターボよりも格段に野太くて、しかもスムーズ。電動アシストのおかげかレスポンスも申し分なく、スロットル操作に過不足なく反応してくれる。

 またエキゾーストサウンドは、古き良き時代のガソリン6気筒を連想させる心地よいもので、このフィールと快音ならばディーゼルのままジャガー「Fタイプ」に搭載されてもおかしくはないとさえ感じてしまったほどである。内燃機関の終焉の時代を代表するに相応しい極上の回り方は、このクルマを選択するには充分という以上の動機になり得ると思われる。

 そしてこのエンジンの魅力は、元祖「ランドローバー」以来、長らく培われた生活ツールとしての本分を体現したディフェンダー110系に、新たな魅力を加味することになった。

 とくに本革インテリアなどの豪華装備が与えられた「X」仕様では、身内である「レンジローバー」にも匹敵しうるような、イギリス高級車特有の濃厚な味わいまで兼ね備えている。

 昨今、巷間で話題の新型「ランドクルーザー300系」にも匹敵する、このボディサイズが受け入れられる生活環境にある方ならば、たとえば英国的カントリーライフを目指そうという好事家でなくとも、ファーストカーとして最上級の満足を与えてくれるに違いないと実感したのである。

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