軽のエンジンを共通化もアリ? スズキ・ダイハツ協業に新提案! 協調・競争でもっと身近な軽を目指せ

スズキ/ダイハツは、商用事業における新たな協業「Commercial Japan Partnership」に参画することを2021年7月21日に発表しました。すでに、トヨタ/いすゞ/日野が同年3月に参画を明らかにしていますが、今回の軽自動車におけるライバルの協業はどのような展開を見据えているのでしょうか。

協調領域と競争領域をバランス良くすることで軽は進化する?

 2021年7月21日、トヨタ/スズキ/ダイハツの共同記者会見が開催されました。
 
 その内容は、同年3月におこなわれたトヨタ/いすゞ/日野の商用事業における新たな協業「Commercial Japan Partnership(以下CJP)」に、スズキ/ダイハツが新たに参画という話です。

 なぜ、この商用事業に軽自動車メーカーが加わったのでしょうか。

トヨタの豊田社長、ダイハツの奥平社長、スズキの鈴木社長、CJPTの中嶋社長による共同記者会見の模様
トヨタの豊田社長、ダイハツの奥平社長、スズキの鈴木社長、CJPTの中嶋社長による共同記者会見の模様

 スズキとダイハツは軽自動車のジャンルでは今も熾烈なシェア争いを繰り広げていますが、その一方で「お客さまのために、一緒に出来る事はないか?」と何度も議論を重ねていたといいます。

 そんななか、トヨタから「スズキとダイハツもCJP入ったらどうですか? 一緒に日本のライフラインを守っていきましょう」と提案を受けたことが今回の参画に繋がったそうです。

 参画にあたり、スズキ/ダイハツはトヨタが保有する「Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」(以下、CJPT)の株式を発行済株数の10%ずつ譲り受けます。

 今回、参画する背景には軽自動車の役目にあります。

 軽自動車は1949年に規格が制定されて以降、人々の暮らしに寄り添い、生活を豊かなものにするために、乗用車は「日常を支えるためのライフライン」、軽商用車は「物流のラストワンマイル」を支える存在を担っています。

 ちなみに日本の自動車保有台数7800万台のうち3100万台が軽自動車。さらに商用車の分野では、軽商用車が58%を占めるそうです。

 ここまで支持される理由は単純明快、軽自動車ならではの特徴「コンパクトなボディサイズ」、「扱いやすさ」、「手ごろな価格」などが挙げられるでしょう。

 ただ、そんな軽自動車にも「CASE」や「カーボンニュートラル」への対応が求められています。

 しかし、乗用車/トラックと同じやり方では価格面も含めてユーザー目線ではないのも事実です。

「日本になくてはならない」軽自動車ユーザーを置き去りにせずに存続させるためにも、ライバル2社がタッグを組んでトヨタの技術を活用しながら協調していくことが最適解だと考えたのでしょう。

 では、このタッグで何が生まれるのでしょうか。具体的な協業内容は3つになります。

 ひとつめは「コネクテッド」です。今回の協業によりトラックからラストワンマイルを担う軽商用までが繋ぐデータを含めた基盤を構築することで、「物流全体の効率化」の実現を目指します。

 ふたつめは「先進安全技術」です。現在、各社単独で開発を進めている状況ですが、各社の技術やノウハウを持ち寄ってタッグを組むことで、「多様性」と「廉価」を両立するシステム開発の検討を進めるといいます。

 そしてみっつめは「軽・商用領域の電動化」です。電動化ユニットなどの技術協力を実施すると共に開発リソーセスを集約することで、「廉価」で「魅力的」な軽の電動車の開発にチャレンジするのです。

 筆者(山本シンヤ)はコネクテッド/先進安全は「想定内かな……」と感じる一方で、軽・商用領域の電動化に関しては、どのような手段を選択するか非常に興味がありしたが、まだ検討の段階だといいます。

 ちなみに軽の電動化モデルというと「三菱ミニキャブ・ミーヴ」や日本のEVベンチャー・ASFが企画設計、中国の柳州五菱汽車が生産をおこなう佐川急便向けの「小型EV」などが挙げられます。

 しかし、軽自動車の「ライフライン」、「お求めやすく」という観点で見ていくと、現時点では必ずしも「身近な存在」とはいえないのも事実でしょう。

【画像】夢の軽トラ? ダイハツ渾身の屋根なし仕様とは(25枚)

意外と多い救急車のヒヤリハット! その原因とは?

画像ギャラリー

1 2

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

3件のコメント

  1. 似たり寄ったりね、鯣みたいによく噛めば違いは出てくるのだけどね。
    360ccにモーターですか?360cc時代にキャロルの4気筒とかありました。
    マツダが軽を作りスバルが軽を作り楽しい時代でしたね。
    三菱ミニカとかFRもありましたね。

  2. 心臓部を共同開発…
    どちらも伸びる…事はなく、どちらかのエンジン開発能力が低下するんじゃないか?
    トヨタ勢に吸収されかねなくない?
    それに協業したところで値は上がる。
    下げる方向にはいかないよ。良くて据え置き。
    ダイハツとスズキはライバルのままで良いと思う。

  3. 生まれて40年このかた。軽自動車の原動機で素晴らしいと感じたのは、スバルサンバーの原動機。印象としては、故障が少なく、とても丈夫。且つ、速度のノリも良かった。

    それが、ダイハツの原動機になってOEM状態になると、あれれおかしいぞ?という感覚に陥る。どれもこれも一緒。それでコスト下げよう思想は私は好きじゃない。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー