フェラーリ「296GTB」の下剋上的な速さを検証! フィオラーノ ラップタイム BEST10
現状における最速はスペチアーレではない!
フェラーリ・ストラダーレが聖地「ピスタ・ディ・フィオラーノ」におけるフェラーリ・ストラダーレのラップレコードBest10。いよいよここからは、上位5台を紹介しよう。
●第5位/「488ピスタ」:1分21秒50
フィオラーノにおける市販フェラーリ・ストラダーレのラップタイム第5位は、488GTBをベースとするハードコア版として、2018年3月のジュネーヴ・ショーで世界初公開された488ピスタだ。
カーボンファイバーの大胆な使用や、内外装のスパルタンな仕立てにより488GTBから約90kgのダイエットを果たしたとともに、V8ツインターボエンジンは50psアップの720psとしたことで、812スーパーファストや488ピスタ・スパイダーと同一の1分21秒5をマークした。
なぜか細かい数値は公表されないものの、おそらく3台のラップタイムに微小な差はあるとは思われる。それでも、きわめて興味深い結果となったといえるだろう。
●第3位/「F12tdf」:1分21秒
2015年末に発表、F12ベルリネッタをベースとする799台のみが生産されたハードコアモデル。「バーチャル・ショートホイールベース」と称する後輪操舵システムを初めて採用した市販フェラーリであるとともに、V12エンジンは780psまでスープアップされた。
先鋭的な空力デバイスや電制システムにアシストされているとはいえ、古典的なFRでこれだけのラップタイムをたたき出したのは、やはり驚くべきことと思われる。
F12シリーズの改良版812スーパーファストのハードコア版「812コンペティツィオーネ」はすでに発表済み。しかもフィオラーノに隣接して新設された「GTスポーティング・アクティビティ」部門施設をワールドプレミア会場としたにもかかわらず、現時点ではラップタイムについての発表はなされていないようだ。
●第3位/「296GTB」:1分21秒
このほどデビューした296GTBのラップタイムは、現時点での第3位となった。
高度なプラグインハイブリッド・システムを持つことで、車両重量はF8トリブートよりも大幅に重い1470kg(メーカー公表値)となってしまったものの、電動モーターとの組み合わせで得られた830psのパワーや、最新鋭のエアロダイナミス/ヴィークルダイナミクスの効力は絶大のようで、F8トリブートより1.5秒、488ピスタより0.5秒も速いことになる。
フェラーリでは296GTBをF8トリブートの後継モデルとは見なしていない旨を言明しているそうだが、これだけの速さを誇るスーパーカーをF8シリーズの下位モデルに置くとは考え難く、いずれは事実上の代替わりとなるのではないかと思われる。
●第2位/「ラ・フェラーリ」:1分19秒70
2012年、エンツォ以来10年ぶりとなる真正スペチアーレ。エンツォ時代のサーキット専用モデル「FXX」のノウハウを注ぎ込んだ800psのV12エンジンに、フェラーリがF1GPのノウハウを生かして開発してきたハイブリッドシステム「HY-KERS」から、電動モーターの163psが加わった結果、システム総計963psというパワーを獲得した。
車体はもちろん高度なカーボンモノコックで、車両重量は1255kg(メーカー公表値)。フェラーリ・スペチアーレらしく、ロードカーとしては最上級のエアロダイナミクスも追求された結果、長らくフィオラーノにおけるタイトルホルダーの地位に君臨した。
●第1位/「SF90ストラダーレ」:1分19秒
2019年6月、まさにフィオラーノで発表されたSF90ストラダーレは、現時点における最新スペチアーレにして、フィオラーノにおける最速のストラダーレとなった。
車体構成は、アルミ合金とカーボンファイバーを組み合わせてスペースフレームを構成するという新しいもの。そしてV8ツインターボ+プラグインハイブリッド・システムがもたらすシステム総出力は、ラ・フェラーリを大きく超える1000psに到達した。
しかし、F1由来の比較的簡易なKERSシステムを採用するラ・フェラーリと比べると、本格的なプラグインハイブリッド・システムが与えられたSF90は、あくまでスペックシート上の数値ながら、300kg以上も重い1570kgとなってしまった。
それでも、前輪もモーター駆動となることでトラクション性能が向上したためか、ラ・フェラーリを大幅に凌駕するラップタイムを計上するに至ったようだ。
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ちなみにF1マシンまでも含むと、現役チャンピオンだった時代のミヒャエル・シューマッハ氏が2004年に「F2004」とともにマークした55秒999が、このピスタ・ディ・フィオラーノにおける歴代ベストラップとのことである。
古いとはいえF1マシンの速さに驚かされるいっぽうで、今後このタイムに肉薄するようなストラダーレが誕生するのか否か、興味と期待が尽きないところである。
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