世界初の「GT」&市販車初「V6」はランチアだった! 「アウレリア」は一体どんなクルマだった?

マクラーレンやポルシェ、ベントレーの車名として使われる「GT」という名称を、最初に使ったのはランチアだった。「ストラトス」や「デルタ」など、ラリーのイメージ近いランチアがどうして車名にGTを使ったのか、その誕生ヒストリーを解説しよう。

「GT」そして「V6」は、ランチアから始まった

 V型6気筒エンジンを初めて量産化に成功させたモデル。そして「GT」のグレード名を初めて正式に名づけたモデルが、実は同一のクルマであることをご存じだろうか?

 そのクルマとは、1951年にイタリアでデビューしたランチア「アウレリアB20GT」。今回VAGUEでは、歴史的名作アウレリアB20GTが、2021年に70周年を迎えたことを記念して、そのストーリーを紹介しよう。

テクノロジー至上主義と、上質さを過度なまでに追求した「アウレリアGT」
テクノロジー至上主義と、上質さを過度なまでに追求した「アウレリアGT」

●テクノロジー & 品質至上主義のもとに生み出されたGTとは?

 いまや家庭用ないしは「eスポーツ」用ゲームソフトの人気タイトルとしても世界的に普及した「GT」という単語。それは「グラントゥリズモ(Gran Turismo)」というイタリア語、あるいは「グランドツーリング(Grand Touring)」という英語の頭文字で、日本語では「長距離旅行車」と訳される。

 GTの概念が誕生したのは、1930年代のヨーロッパと推定されている。英国を中心とする当時の裕福なエンスージアストたちが自動車による長距離旅行、馬車時代に端を発する「グランドツアー」に供するため、高性能にして快適性も高いクルマを求めた。

 その後、第二次世界大戦の勃発で一度は衰退したグランドツアーだが、戦後の混乱が落ち着いてくるのにしたがい、またドイツの「アウトバーン」やフランスの「オートルート」やイタリアの「アウトストラーダ」網の整備が進みつつあったことによって、GTも復活の機運が高まってゆく。

 この時期、1951年に誕生したのが、ランチア「アウレリアB20」だ。そして2年後の1953年には、V6エンジンの排気量を増大させたマイナーチェンジ版「B20-2500GT」に進化を遂げる。

 戦前のアルファ ロメオが「6C1750」の一部に「グラントゥリズモ」と名づけたことはあったが、メーカーの正式グレード名としてはB20が自動車史上初となる「GT」であった。

 まだフィアットの傘下に収まる前、独立企業だった時代のランチアは、極めて独創的なアイデアから、この上なく上質な名車の数々を送り出す、欧州の自動車業界でも希有な存在であった。

 各世代の先端技術に大胆なアプローチを図り、コスト高騰や生産性の低下を恐れることもなく先進技術を投入することにかけては、ランチアは特別なメーカーだった。

 戦後ランチアのテクノロジーを方向付けたのは、ヴィットリオ・ヤーノだ。史上最高の自動車設計者のひとりとして知られるインジェニェーレ(エンジニア)である。

 ヤーノ技師が第二次大戦前に指揮を執ったアルファロメオでは「P2」や「6C1750」、「8C2300」、「ティーポB(P3)」などの傑作車を次々と手掛け、自動車テクノロジーを芸術の域にまで高めた。そして、1937年にランチアの開祖ヴィンチェンツォ・ランチアが逝去したのに伴って、ランチア社の主任設計者に迎えられていた。

【画像】「ストラトス」や「デルタ」よりも前にラリーに出ていたランチアとは(12枚)

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