なぜ13年超の車が重課税対象?「納得できない!」車に税金掛かりすぎ! 海外と比べてどの位高いのか
愛好家だからこそ感じる「13年重課」の意味
さて、ここからは極めて私的な意見を述べたいと思います。筆者(PeacockBlue K.K. 瓜生洋明)の周囲にも自動車愛好家は多く、いわゆる「旧車」や「クラシックカー」を愛する人も少なくありません。
そうした愛好家の多くは、上述の「13年重課」に疑問を呈しています。
重課とは反対に、30年以上経過したクルマの税金を優遇する、ドイツの「ヒストリックカー税制」を引き合いに出し、自動車文化の育成を阻む悪法だと弁ずる人もひとりやふたりでありません。
ただ、これは上述の「自己中心的」意見の典型例だと筆者は感じます。
当然、旧車やクラシックカーの愛好家からすれば、税制優遇が受けられるのはうれしいことに違いありません。
しかし、一部の愛好家だけを優遇するような制度は、それこそ租税の基本原則から外れる悪法だといわざるを得ません。
日本のGDPのおよそ1割を占めるとされる自動車産業を振興するためには、新車購入をうながすことが必須です。自動車産業の振興は、ひいては日本経済の振興につながります。
「古いものを大切に使うことが悪いのか?」、「日本の美徳である『もったいない』精神はどこへいった」という批判も見られますが、マクロ経済の話と個人の思想信条の話は分けて考えなければなりません。
旧車やクラシックカーの所有や走行そのものが、法律で制限されているなら大きな問題ですが、そうではありません。
新車を購入して経済発展に寄与するか、古いクルマに乗り続けることで税金を多く払い経済に寄与するかの選択肢を与えられていると、考えることもできるのです。
![自家用乗用車ユーザーの税負担額(13年間)[日本自動車工業会調べ]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2018/06/20180604_jama_008.jpg)
筆者自身も13年重課に該当するクルマを所有しています。さらにいえば、排気量6.75リッターのエンジンを搭載しているため、自動車税も最高額に達します。
これだけの排気量のエンジンのため、当然重量も2.7トンを超え、燃費もリッター5km/L走れば良い方です。
普段は新車で購入したハイブリッドカーを使用することが多いのですが、それと比べると、道路や自然環境に与える負担の大きさ、そして維持に関する費用は、まさに天と地ほどの差があります。
ただ、それでもそのクルマを所有しているのは、筆者がそのクルマを好きだからにほかなりません。決して万人受けするクルマではありませんが、あくまで筆者の趣味の話なので、それで良いと思っています。
他人の趣味に口をだすのが野暮なように、自分の趣味を必要以上に他人に理解してもらおうとするのも、無粋なことだと思います。13年重課の廃止を自動車愛好家自身が訴えるのは、個人的にそうした印象を受けるのです。
筆者個人の懐事情からすれば、毎年12万7600円という自動車税は決して楽な負担ではありません。ただ、税収を一定にすることを前提に考えると、筆者がこのクルマを楽しむために、誰かに重課分の1万6600円を負担してもらうことは、どう考えても間違っています。
むしろ、気持ちよく重課分を支払い、精一杯趣味のクルマを楽しむのが、自動車愛好家の務めなのではないかと考えます。
※ ※ ※
税制については、多くの意見があってしかるべきです。ただ、ひとりの自動車愛好家としては、現在の自動車税制をよく理解し、広い視点で建設的な議論をすることが重要なのではないでしょうか。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。












