なぜ13年超の車が重課税対象?「納得できない!」車に税金掛かりすぎ! 海外と比べてどの位高いのか
度々、話題となる「日本の自動車関連税」の議論。クルマは、所有すれば自動車税に重量税、走行すればガソリン税など、なにかと税金がかかるイメージです。しかし、果たして本当に日本の自動車関連税は高いのでしょうか。
「日本の自動車関連税は高い!」は本当か?
クルマは、所有すれば自動車税に重量税、走行すればガソリン税など、なにかと税金がかかるイメージです。
しかし、果たして本当に日本の自動車関連税は高いのでしょうか。そして、自動車愛好家は自動車関連税に対してどのように考えるべきなのでしょうか。

2021年7月現在、自動車関連税には、自動車税および軽自動車税や自動車重量税といった「車体課税」と、揮発油税などの「燃料課税」があり、実際には消費一般に対して広く公平に課される税である「消費税」も、自動車の購入や使用に関わってきます。
税金には、「中立公正な課税」という基本原則があります。
ここでいう「中立公正」とは、国民全員に対して同等の税額を課すという意味ではなく、所得に応じて適切な課税をするという意味とされています。
また、「受益者負担」という原則もあります。
これは、市場経済において、その利益を受ける者がそれに必要な負担を請け負うというもので、簡単にいえば、道路の維持整備に必要な費用は、道路を利用する自動車オーナーが支払うべきという考え方です。
自動車税や軽自動車税は、クルマという高額品を購入することができるという点に担税力(=税を支払う能力)があるとして、所得の多い国民から税徴収をするという「中立公正な課税」という側面と、実際に道路を利用する自動車オーナーがその維持整備に関する費用を負担するという「受益者負担」というふたつの側面があります。
このふたつの基本原則から発生する税金は、日々公共サービスを享受している以上受け入れるべきものであるでしょう。しかし、実際にはさまざまな問題があるのも事実です。
自動車重量税や揮発油税は、重量の多いクルマほど道路を損傷する可能性が高いことや、ガソリンを多く使用するクルマのほうが環境に与える影響が大きいことから、「受益者負担」の原則に則った税とされてきました。
しかし、実際には2009年に法改正で、自動車重量税や揮発油税などは一般財源化されたことで、道路関連に限定されずに使用できることとなりました。つまり、前述の「受益者負担」の原則から離れています。
いわゆる「二重課税」も問題視されることが多くあります。例えば、ガソリンを購入する際、ガソリン本体の価格に揮発油税を課税し、さらにその金額に消費税を課税するというものです。
「二重課税」そのものは違法ではありませんが、当初の想定を超える課税につながる恐れがあることから、経済発展を阻害するものとして極力排除すべきものとされています。
また、とくに自動車愛好家から不興を買っているのが、自動車税や自動車重量税の13年経過後の重課です。
自家用車であれば、登録から13年経過すると自動車税や自動車重量税が概ね10%割増となります。18年経過すると、さらに割増となる二段階での重課制度となっています。
これも、基本的には「古いクルマほど環境に与える影響が大きい」ことから「受益者負担」の原則に沿った課税制度ですが、「古い物を大切に使うことは悪いことなのか?」と批判されることも少なくありません。
さて、ここまで日本の自動車税制について見てきましたが、いくら詳しく解説をされようとも「高いものは高い」と感じる人も少なくないでしょう。
日本の自動車税制を批判する際には、諸外国との比較が挙げられることが多くあります。
日本自動車工業会(自工会)の発表によると、例えば、「排気量1.8リッター・カタログ燃費15.8km/L(JC08モード)・車体価格180万円」の乗用車の保有に関する車体課税(日本の場合「自動車税」と「自動車重量税」)は、米国の約31倍とされています。
米国は諸外国から見ても極端に自動車関連税が安いこともありますが、ドイツと比べても約2.8倍、イギリスと比べても約2.4倍となるなど、やはり日本が高い水準であることがわかります。
ただ、これはあくまで車体課税に関した数値です。より視点を広げると、ドイツやイギリスは日本と比べて消費税(付加価値税)が高く、日々の生活に関する税負担は多くの場合、より大きいとされています。
また、国税庁の調査によると、年収500万円の所得税および住民税負担率を見ると、日本はドイツの2分の1以下、イギリスの4分の1以下となっています。
アメリカは日本よりも住民税負担率が若干低いですが、医療費が非常に高いなど、社会保障に関する公共サービスが日本とは大きく異なります。
自動車税が半分になる代わりに、消費税が倍になったり、所得税が増えたり、医療費が高額になったりするといわれたら、手放しで喜べる人はまずいないでしょう。
もちろん、現在の制度に甘んじることなく、より良い方向を主張するのは重要なことです。ただし自己中心的な主張は建設的ではありません。
自動車税制に疑問を感じる人の多くは、おそらく自動車愛好家なのではないかと思います。ただ、自動車愛好家だからこそ、建設的な議論となるように広い視野を持った主張が必要です。












