英国王女が愛したロールス・ロイスはたったの700万円 特注「シルバーレイスII」の仕様とは

英国御用達のクルマとして、エリザベス女王のベントレー「ステートリムジン」は有名だが、エリザベス女王の妹であるマーガレット王女が長く使っていたロールス・ロイスはあまり知られていない。そんなマーガレット王女が愛したロールス・ロイスを紹介しよう。

英国王女に見初められたロールス・ロイスとは

 ながらく海外のクラシックカー/コレクターズカー市況を観察していると、あるオークションで一度落札されたばかりのクルマが、あまりタイムラグをおかずに別のオークションに出品されるという椿事を、まれに見かけることがある。

 英国のオークションハウス、シルバーストーン・オークション社が、2020年11月中旬に開催した「Classic & Competition Car」オークションに出品された、かつてマーガレット王女が使用していた「ロールス・ロイス・シルバーレイスII」もその一例といえよう。

 イギリス国民の人気を集めたプリンセスの元愛車が売りに出されるということで、世界的な話題を提供したことは記憶に新しいのだが、その時のロールス・ロイスが、2021年5月26日に開催された英国H & Hクラシック社「Imperial War Museum Duxford」オークションに再び姿を見せたというのだ。

約700万-約860万円のエスティメートがついていたが、落札となったマーガレット王女の「シルバーレイスII」(C)H&H's auctions
約700万-約860万円のエスティメートがついていたが、落札となったマーガレット王女の「シルバーレイスII」(C)H&H's auctions

●R-RシルバーレイスIIって、どんなクルマ?

 ロールス・ロイス・シルバーレイスIIというクルマについて語るには、まずはその起源である「シルバーシャドウ」について、説明せねばならないだろう。

 1965年にデビューしたシルバーシャドウは、シトロエンから特許を借り受けた「ハイドロニューマティック」を採用した、自動車高調節システムつきの独立懸架。ブレーキも旧来のイスパノ・スイザ式メカニカルサーボつき4輪ドラムから、一挙にハイドロニューマチックによる油圧作動の4輪ディスクとするなど、あまりに革新的なテクノロジーを大幅に導入。

 ロールス・ロイスの歴史上もっともドラスティックな進化を遂げたモデルとして知られている。

 しかし、革新的なメカニズムを持つがゆえに未完成な部分も多く、デビュー直後から数多くの改良が施されることになったことでも知られている。なかでも最大の進化を遂げたのが、1977年春におこなわれたマイナーチェンジ。新たに「シルバーシャドウII」として、実質的な再デビューを果たした。

 そしてこの際に、従来は特段分類されていなかったロングホイールベース版に、1946年から1955年に生産された超高級モデル「シルバーレイス」のネーミングが復活。「シルバーレイスII」と呼ばれることになる。

 シルバーシャドウII/シルバーレイスIIでは、ステアリングギアボックスが従来のボール循環式からラック&ピニオン式に変更されたことで、それまでやや心もとなかったステアリングフィールやハンドリングは、格段にシュアなものとなった。

 また、1975年デビューのR-R「カマルグ」に先行装備されていた上下分割冷房式のエアコンディショナーや、フロントのエアダムスカート、同じく1975年ごろからのシルバーシャドウに、北米仕様専用で装着されていた5マイルバンパーを標準装備するなど、ロールス・ロイス史上最大規模の進化が施された結果として、シルバーレイスIIは誕生することになった。

 そして2020年・2021年と2度にわたってオークションに出品された個体は、クルー本社工場で製作されたといわれる2145台のシルバーレイスIIのなかでも特別な1台、いわゆる「ロイヤルカー」だったのである。

【画像】王女仕様のロールス・ロイスのインテリアとは(23枚)

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー