使い勝手よりもデザイン重視? ユニークな2ドア車3選
スポーティなクルマでは許される2ドアですが、比較的実用的な乗用モデルでは、もはや絶滅状態です。しかし、かつては2ドアでも許されたモデルが存在。そこで、実用的でユニークな2ドア車を、3車種ピックアップして紹介します。
往年のスタイリッシュな2ドアモデルを振り返る
高性能なスポーツカーやラグジュアリーなクーペを除くと、2ドア(3ドア)のモデルは激減してしまいました。
当然ながら使い勝手という点で2ドア車は不利で、とくに実用的なモデルで2ドア車がヒットすることは、もはやありえないといえます。
しかし、1990年代までは比較的実用的なモデルでも、2ドア(3ドア)のクルマが散見されました。
そこで、かつて販売されたユニークな2ドア車を、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラ リフトバック」
トヨタは1966年に、マイカー時代到来に向けた大衆車の初代「カローラ」を発売。ボディタイプは当初は2ドアセダンのみでしたが、後に4ドアセダン、2ドアクーペ、ライトバンなど多彩なボディタイプを展開し、さまざまなニーズに対応しました。
その後、カローラは代を重ねても複数のボディタイプを設定。1979年発売の4代目では、2ドア/4ドアセダン、2ドアクーペ、3ドアハッチバック、2ドア/3ドアバンに加え、トヨタ独自の3ドアリフトバックと7タイプのボディを販売していました。
なかでもリフトバックはステーションワゴンとクーペの中間のようなスタイルの3ドアハッチバックで、直線基調のデザインと相まって個性的なフォルムとなっており、まるで欧州の「シューティングブレーク」を彷彿とさせます。
エンジンも多彩で、1.3リッター、1.5リッター、1.8リッターの直列4気筒OHVに、トップグレードの「GT」には「カローラレビン」と同じ1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載。
1983年に登場したFFの5代目では、欧州市場で人気の5ドアハッチバックがラインナップされましたが、6代目以降ではセダンとステーションワゴンが展開されました。
●ホンダ「アコード エアロデッキ」
ホンダは1972年に発売した初代「シビック」に続き、1976年にはシビックの上級モデルとして初代「アコード」を市場に投入しました。
ボディタイプは当初、3ドアハッチバッククーペのみでしたが、後に4ドアセダンが追加され、ハッチバックとセダンの2タイプを2代目も継承。
そして、1985年に発売された3代目ではハッチバッククーペが廃止され、代わりにスポーティなステーションワゴンを彷彿とさせる3ドアの「アコード エアロデッキ」がラインナップされました。
3代目アコードの特徴であるリトラクタブルヘッドライトを採用したシャープなフロントフェイスに、フロントからリアエンドへ続くロングルーフのキャビンは、それまでの国産車では見られなかった個性的かつスポーティなフォルムを実現。
エアロデッキは、まさにシューティングブレークそのものといっていいスタイリングでした。
その後、1989年に4代目へフルモデルチェンジすると、4ドアセダン、2ドアクーペ、5ドアステーションワゴンというラインナップに改められ、ユニークなエアロデッキは一代限りで消滅してしまいました。
なお、エアロデッキは日本と欧州、ニュージーランドで販売されましたが、北米では一般的な3ドアハッチバッククーペとされました。
●日産「テラノ」
現在、世界的に高い人気を誇っているSUVは、アメリカでピックアップトラックをベースに荷台にキャノピーを搭載したクルマが始まりといわれています。
その後、アメリカではピックアップトラックのラダーフレームにステーションワゴンタイプのボディを架装したモデルが人気となり、日本でも1990年前後には同様のモデルが次々と誕生。
そのなかの1台が、1986年に発売された日産初代「テラノ」です。
テラノのベースとなったのは前年に登場した9代目「ダットサントラック」で、ラダーフレームを共有し、ステーションワゴンタイプのボディが架装されました。
外観はアメリカのSUVの影響が色濃く、スクエアなフォルムの3ドアボディのみで、優れたデザインが高く評価されてヒット作となりました。
搭載されたエンジンは当初2.7リッター直列4気筒OHVディーゼルエンジンのみでしたが、1987年にはよりコンフォートな3リッターV型6気筒ガソリンエンジン車を追加ラインナップ。
また、クロカン車としては少数派だった4速ATを設定したことで、幅広いユーザー層から支持されました。
そして、RVブームの兆しが見え始めた1989年には、より使い勝手を向上させた5ドアモデルを発売。ラインナップを盤石なものとします。
テラノは2002年に2代目をもって日本での販売を終えましたが、海外では「パスファインダー」の名で人気をキープしており、2021年2月にはアメリカで新型の5代目が発表されました。
※ ※ ※
本文中に登場するシューティングブレークですが、その名のとおり狩猟用に仕立てられたステーションワゴンタイプのクルマを指します。
欧州で誕生した黎明期のシューティングブレークはクーペをベースにした2ドア(3ドア)のモデルでしたが、近年はクーペフォルムを強調した5ドアのステーションワゴンが主流で、メルセデス・ベンツやポルシェがラインナップ。
そして、2021年7月13日に、フォルクスワーゲンからフラッグシップモデルの「アルテオン」をベースにした「アルテオン シューティングブレーク」が、日本でも発表されました。
そのスタイルはスポーティかつスタイリッシュで、かなり注目されそうです。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。