【10台限定】10億円のブガッティ「チェントディエチ」がナルドで「EB110」とご対面!

「EB110」開発ドライバーが「チェントディエチ」を試す

 時間が一気に30年も巻き戻されたのは、2台のブガッティEB110レースカーがトランスポーターから降ろされた瞬間だった。

第2世代ブガッティのレジェンドである「EB110LM」(奥)と「EB110スポーツ・コンペティツィオーネ」(手前)
第2世代ブガッティのレジェンドである「EB110LM」(奥)と「EB110スポーツ・コンペティツィオーネ」(手前)

 この2台の文化的遺産に同行してナルドを訪れたロリス・ビコッキは、EB110が姿を現した瞬間に、「自分がすぐに30歳若返った気がしました」と興奮気味に語っている。

 それもそうだろう。ロリス・ビコッキは1990年代初頭に、EB110をゼロから開発することに関与し、このナルドの試験場やテストトラックで、数え切れないほどの距離をテスト走行しているのだから。

●「EB110」開発ドライバーが語る

「何年にもわたって、ナルドは私の第2の故郷のようになりました。私は隅々まで、そしてすべての丘の頂上を知り尽くしており、例えば当時は目隠しをしてトラックを運転することができたかもしれないほど、熟知していました。

 その車両の1台が青い『EB110LM』でした。これは公式にブガッティが製作した2台のファクトリーマシンのうちの1台であるため、非常に特別なモデルです。

 ブガッティは1994年にEB110LMでル・マン24時間レースに参戦しました。4つのターボチャージャーを備えたV型12気筒エンジンは、3.5リッターの排気量から660psの最高出力を発揮し、0−100km/h加速は3.2秒だったのです。

 シルバーカラーの『EB110スポーツ・コンペティツィオーネ』も特別なモデルです。アメリカの著名なジェントルマン・ドライバーが、1995年からIMSAシリーズや、ほかのBPR耐久レースに参加したのはこのクルマでした」

 ロマーノ・アルティオーリが、長いブガッティ不在の時代に終止符を打ち、それを復活させた時に理想としたのは、まさにこのような信じられないほどの高速化に重点を置いたモデルだったとビコッキは語る。

 1990年、アルティオーリはイタリアのカンポガリアーノに新工場を竣工し、1年後の1991年9月15日、エットーレ・ブガッティの生誕110周年には正式にEB110を発表する。4WDの駆動方式を採用し、軽量なカーボンモノコックを基本構造体としたEB110の最高速は351km/h。当時としては、これは世界最高速を誇る数字だった。

●「EB110」開発ドライバー、「チェントディエチ」をドライブ

 ロリス・ビコッキは続けてこう語っている。

「私はEB110を私のキャリアの中で最高の時期と考えています。私は1974年から別のブランドのテストドライバーとしても働いてきましたが、1989年からブガッティで多くのことを学ぶことができ、自分の責任とともに成長したと思います。

 当時のスーパースポーツカーは、エンジン、シャシ、モノコック、ボディワーク等々、すべてを新開発する必要があったのですから」

 3台のブガッティが、タイトでハードなハンドリングコースへとピットアウトしていく。ロリス・ビコッキは、「EB110のステアリングを改めて握ることができ、さらに最新のチェントディエチの走りを、ここナルドで試すことができたのは、とても感動的な瞬間でした」と興奮を隠せない。

 長い伝統に裏付けされたトップブランド。このような印象を得ることができるのは、やはり世界の中でもそう多くはないのだろう。

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