軽トラは「農道のスポーツカー」!? 運転が楽しいってホント? オーナーが語る軽トラの魅力

軽トラは軽快に走れる! カスタムベースとしても注目

 実際のオーナーは、乗り物としての軽トラをどう見ているのでしょうか。軽トラの魅力について聞いてみました。

「軽トラの魅力は圧倒的に小回りが効くことです。常用タイプの軽自動車よりもハンドルの切れ角が大きいんです。ただし最近の軽トラは電動パワステが標準装備になった影響でハンドルを切りすぎてしまい、フロントタイヤのショルダーがすぐに減ってしまうのが難点です」(栃木県・40代男性・整備士)

2021年4月に生産終了したホンダ「アクティ」
2021年4月に生産終了したホンダ「アクティ」

「ATモデルも増えていますが、運転は圧倒的にMTが楽しいです。標準では細いタイヤなのですが、その影響か低速でも挙動が掴みやすい気がします。それが妙な軽快感を感じさせてくれます」(埼玉県・30代男性・流通)

 シンプルな軽トラは、良い意味で挙動が分かりやすいという魅力があるようです。ちなみに、ル・マン参戦経験のある一流ドライバーも「運転(クルマのコントロール)は自宅の軽トラで覚えた」と話すなど、軽トラはプロドライバーにも一目置かれる存在となっています。

「確かに軽トラの運転は楽しいです。ただ、シートはリクライニング機構もなく、高身長の人には辛いかもしれません。また、空荷だと後ろが軽すぎてトラクション不足になりやすいので、その点は注意です。路面のデコボコで跳ねてしまうので、荷物を積んでいるときのほうが安定して走れます」(埼玉県・40代男性・農業)

 確かに軽トラは後軸が軽くトラクション不足になりやすい傾向があるといわれており、荷物を乗せて適正な重量バランスになるように設計されているわけです。

 2012年までスバルが自社生産していた「サンバー」は、リアエンジン・リアドライブのRRを採用。

 RRとしたことで重量物が車体後部に集中しているため、空荷時でも駆動力を確保。農道などの未舗装路でもスリップしづらいなど、「農道のポルシェ」の異名を持つほど走行性能に定評がありました。

※ ※ ※

 現在の軽乗用車は、安全装備も充実しエンジンの性能もアップ。快適装備もフル状態で不満が少ない代わりに、シンプルさとは無縁の存在になりつつあります。

 その点、軽トラはさまざまな面でも極めてシンプルで、そこが逆にカスタムのベース車両として扱いやすいと改めて注目を集めています。

 そのカスタムも多岐にわたり、ヘッドライトやウインカーの換装、タイヤ&ホイールの換装あたりから、自分の趣味に合わせた荷台の加工、オリジナルペイント塗装など個性を追求するものまでさまざま。

 なかでも人気なのがタイヤ&ホイールの換装で、標準の鉄製ホイールからクロームなどで色付けされたアルミホイール&太めのタイヤに交換されるケースが多いようです。

 さらに荷台に騒音対策のゴム製シートを敷いてみたり、バンパーを交換してみるなど、まるで大きい「動くおもちゃ」のようにカスタムされるケースをよく見かけます。

 その人気は芸能界でも高く、実際にレースへの参戦経験を持つ俳優の岩城滉一さんが軽トラにレカロ製バケットシートを組み込んだり、MCなどでも活躍するヒロミさんが自分でカスタムしたり、よゐこの濱口さんは軽ベースのキャンピングカーを購入するなど、軽トラのカスタムにハマっている動画が数多くアップされるなど、ちょっとしたブームとなっています。

 軽自動車は維持費が安いという点でも経済性に優れており、運転やカスタマイズを自由に楽しめる魅力が溢れたジャンルだといえるでしょう。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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